冥利 Vol.2

日吉までの車中、ずっとNHKのFMを聞いていた。
京都の僕の「師匠」の濱口十四郎さん(現NPO京都の文化を映像で記録する会理事長)が生出演していたからだ。
番組名は「今日は一日“ちょんまげSONG”三昧」。長年にわたって時代劇などの整音の仕事をされていたハマさんは、うってつけのゲストだ。さっきから林家三平師匠やペリー荻野さんと淀みないトークを展開している。
「映像とセリフをひとコマずらす極意」とか「"仮面の忍者赤影“の効果音のオープンリールを保管している」など興味深く聞いているうちに、日吉へと到着した。
冥利 Vol.2 at 日吉NAP
(冥利 Vol.2 at 日吉NAP)

本日はオルタナティブ・シンガーの喉企画のライブイベント「冥利 Vol.2」が行われる。
何しろ喉の企画イベントだし、リーフレットの写真は「割れた石榴」で思いっきり江戸川乱歩の世界だしで、いったいどんなダークサイドになるのだろうと心配していた。さらに言えば今回はRikaちゃんも参加している。狂気の群れに放り出された何かになってはしまいかと心配もしていた。会場にはのくりっち殿も駆けつけていた。何やらくりっち殿は「とってもいいもの」を買った帰りらしい。僕が言うのもナンだけど、こうやって喉企画のライブに駆けつけてくれることが、とても嬉しかった。ただ二人して「何が起きるか心配だ」という話をしていた。

司会の奏屋マコトと喉
(司会の奏屋マコトと喉)
MCはご存知奏屋マコト君。後で喉にダメ出しされていたけど、それは「進行上の勘違い」ってヤツで、MCそのものは「上手いね、あやつ」とくりっち殿と意見が一致した。


(奏屋マコト)
そんなマコトは一発目。自分で自分を紹介して出演してやんの。また音楽性がどんどん進化していた。頼もしくなったなぁ。

横田惟一郎
一曲一曲がバラエティに富んでいて「次はどんな球投げてくるのか?」とワクワクするステージ。とても色々聞いてきたんだろうなぁ、と思う。
Rika
(Rika)
ここでRikaちゃんが登場。これはナイスな出演順だ。むさくるしい野郎どもの熱いステージの後は、さわやかな涼風に限る。ハコが異様に盛り上がる。その盛り上がり方が何だかおっさん臭いのが可笑しかった。彼女の音楽はとてもよく練られたポップス。でも計算されているのではなく天然なような気がした。それは凄いことだと思う。なんだか洋楽ポップスみたいなテイストがあるなと思いつつ聞く。だけど実際には「邦楽以外はあまり聞かない」んだって。意外とストローク・プレイが力強くて男勝りかも。

(モチダコウスケ)
うん、いい。シャッフル系のロックもいいし、バラードの「マリー」もいい。ステージで戦っている。NAPがあれほどロックのハコみたいに、盛り上がったのを見たのは初めてだった。

(トーク・ショー)
こういうのが喉らしい演出。出演者に質問を投げて、フリップで回答してもらうというもの。珍問珍答で爆笑した。
いきなり観客の僕にも振ってきた質問は「突然百万円手に入れたらどうする?」というもの。
「家を建て替えるための頭金にする」というオトナの事情的回答をする。

木村愁酔
愁酔君を見るのは二度目。彼もまた音楽的ボキャブラリーが豊富なミュージシャン。すっきりした顔立ちと衣装もあわせて「冥利」が実は音楽的に幅広いイベントだってことがよくわかる。
喉

いつになく絶好調に飛ばす飛ばす飛ばしまくる喉。狭い会場が異様に盛り上がる。最後には「冥利」のイメージどおりにカタをつけてくれた。彼の音楽が本質的に「良いもの」であることを何よりもここにいる出演者が感じていることがよくわかった。
最後にアンコールで「遺言」をプレイ。喉も初めての経験だった模様。
喉にとってイベント主催経験は2度目。でも相当大変だったようだ。でもお客さんサイドから見ると出演順は緻密に構成しているし、喉オリジナルカクテルは振舞われるし、CD売場の演出しているし、トークショーの演出も面白かったし、とてもお客さんを楽しませることを考えているイベントだったと思う。イベント主催者の音楽性やセンスがイベントの方向性やクオリティを決める。そういう意味において、とても高度な音楽性を感じることのできたイベントだった。そして何だかオブザーバー的な立場で活躍する喉が頼もしかった。

(最後に出演者全員で)

帰宅後にTwitterでつぶやいた。
“喉の日吉NAPでのイベント「冥利」からいま帰宅。栞のくりっち殿も見にきてくれました。予想以上にミュージシャンのクオリティが高く、出演オーダーもよく練られており、時間を忘れて楽しめる観客冥利に尽きるイベントでした。喉君、お疲れ様!"

長々と文章書くよりも、この短文が全てを言い表していると思う。