入学祝

どちらかといえば、娘たちにモノを買ってあげることに厳しい方なんですが、こと音楽のことになると財布が緩むという悪しき習性を持っています。

高校に入学した長女が、軽音楽部でギターを弾くことになりました。
最初ベースに憧れていたのですが、あっさりギターに決めた理由は簡単でした。
部室でギターを弾いてみせたら、先輩のバンドに誘われたのだそうです。

「必要とされているならば、役立て。必要とされていないならば、ほっとけ」これは我が家の家訓なんです(嘘)。

ベースの方が需要の多いポジションですし、それに最近は女性がベースを担当するバンドが増えています。
父親的には「それもアリかな」ぐらいに望んではいたのですが、そんな親の思惑に従う子供ではありません。

というわけで日曜日に御茶ノ水へ行ってきました。
娘の悩みはSGとストラトキャスターのどちら買うかでした。
車中、音色を聞き比べるために、ジミヘン(ストラト)とピート・タウンゼント(SG)のプレイを流してあげました。
「SGの方が骨太でいいかなぁ」なんて言ってました。

親父は内心「よしよし」と思いました。....もうこの時点で自分も使おうと企んでいるのがバレバレですね。

でも、親の思惑に従う子供ではありません。
実際に何軒かで試奏したら「ストラトの方がいい」と言い出しました。
本当に音色が気に入ったのか、ストラトの方がカラーバリエーションに富んでいるからかはわかりません。
まあストラトの方が女の子には使い勝手が良かったかもしれません。

ましてや「かわいい」には勝てませんでした。

結局フェンダーST62のサーフ・グリーンを抱えた親子は、「この世で最も美味しい食べ物のひとつ」であるキッチン・カロリーの「カロリー焼き」にパクついていたのでした。

僕の脳裏には高校一年生の頃の記憶がよみがえりました。
1981年の4月、僕もまた御茶ノ水でヤマハのストラトキャスターを買っていたのです。
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僕達はみんなだんだん齢をとる
死にたくないなと考えたりもする
愛する人よ もうすぐ気付くだろう
僕のやさしさもだんだん齢をとる

大人になった女の子
僕をどこまでも愛してくれよ
何ももて余さないで
好きだという気持ちだけで 何も食べなくていいくらい
愛しい顔を見せてくれよ
(くるり「男の子と女の子」)