才能を潰すな

世論は…とりわけインターネットの時代になってから、イチとゼロに大きくブレやすいのが特徴です。

最初の発表では散々持ち上げて、「ねつ造」という発表があれば散々落としておいて、もし本当に正しい結果が出たら再び持ち上げるのでしょうか?

いま、この「世論」というヤツが冷静さを試されているように思います。

小保方さんのSTAP細胞論文に関する理研の発表には、研究の再現結果を待ってはいられない緊急性があったのは事実です。しかし「ねつ造」という言葉には違和感を感じました。
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(画像は特に本文と関係ありません)

科学の世界は一番イチゼロに近い世界です。悪意を以てそのどこかを「ねつ造」したとしても、結局のところ再現性がなければ成果が出たとは言えないわけです。
だいたい「理研」というトコロは一枚岩の組織ではなく、単なる科学者の集合体なんだろうか?
組織としてのチェック機能が欠落していたにも関わらず、手柄になれば誇り、さもなくばマイナスイメージの言辞を弄しても切り捨てる。

僕は一連の騒動をみるにつけ、むしろ彼女の「認識なき過失」というニュアンスを感じています。
むろん、彼女自身の甘さというのもあったことは言うまでもありませんが。

僕は女性に弱いので、ついついそう思ってしまうのかもしれませんが、彼女には人を騙してまで栄誉を勝ち取ろうとする「悪意」というものが感じられない。そんなことをやっても実証にはつながらないことは彼女自身がわかっているはずだ。あっ、法律的な意味の「悪意」ではなく、一般用語としての「悪意」ね。

彼女は才能ある若い科学者だと思います。若すぎる….
組織の「事情」や「論理」の中で潰されてしまったり、処分されたり。
結果として世界への才能流出になってしまったら、
それはとてももったいないことだと思ってなりません。
とりわけバブル崩壊後に一番苦労した30代の若い人たちの希望を摘むことにもなりかねない。

だから僕は静かに結果を見守ろうと思います。
本当にノーベル賞を受賞する日まで。
それは見てもいい夢なんじゃないかな。