ルイジアナ1927
9月14日、BSでハリケーン「カトリーナ」被災者を支援する音楽番組をやっていた。
僕は途中から見たのだが、後で知った情報では、番組の冒頭でRandy自身によって歌われていたようだ。曲名を「ルイジアナ1927」という。
ここで起こったことといえば
風向きが変わったことと
北方から雲がまきあがり、雨が降ってきたことだ
激しい雨は、長く長く降り続いた
エヴァンジェリンの通りは
6フィートの水に覆われてしまった川の水かさは一日中増すばかり
川の水かさは一晩中増すばかりあるものは洪水のために行方不明となり
あるものは洪水から逃げおおせた
川はプラグマインの堤防を打ち壊し
エヴァンジェリンの通りは
6フィートの水に覆われてしまったルイジアナ ルイジアナ
あらゆるものが我々を押し流そうとしている
あらゆるものが我々を押し流そうとしているクーリッジ大統領が列車に乗って視察に来た
書類を手にした太った小男をともなって
大統領は太った小男に言った
「おい、おデブさん。川はこの貧乏白人の土地に
何てひどいことをしたんだろうねぇ」ルイジアナ ルイジアナ
あらゆるものが我々を押し流そうとしている
あらゆるものが我々を押し流そうとしているルイジアナ ルイジアナ
あらゆるものが我々を押し流そうとしている
あらゆるものが我々を押し流そうとしているRandy Newman「Louisiana 1927」
ハリケーンのお陰で壊滅的な打撃を被ったルイジアナのニュースを見ていて、この曲を思い出した。1927年のルイジアナ州大洪水を歌った作品だ。Randy Newmanが1974年にリリースした名盤「Good Old Boys」に収録されている。
近年のRandyは「トイ・ストーリー」、「バグズ・ライフ」、「モンスターズ・インク」、「シー・ビスケット」など映画音楽家としての活動のほうが有名だが、当時はベランメェ口調で南部人の難儀な暮らしを諧謔味タップリに歌うシンガー・ソングライターだった。
どことなく冷淡なクーリッジ大統領とデブな小男(彼の秘書だったフーヴァー=次期大統領)の珍妙な組み合わせに、彼は何を語ろうとしたのだろうか?
クーリッジ大統領の頃のアメリカ政府は「小さな政府」を標榜していた。そのため、この大洪水においても、被災者に対して一切救済のカネやモノを出さなかった。たとえば当時の陸軍は、貸し出したテントのレンタル料を、後になって赤十字社に対して請求したのだという。
クーリッジ大統領は「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」と言ってのける人物であったことが、ウィキペディアにも書かれている。
これが契機となって弱者を救済するだけの力を持った「大きな政府」を求める声が高まっていった。そして次々代のルーズベルトによる「ニューディール政策」などによって、アメリカ政府は「大きな政府」へと成長してゆくのである。
その「大きな政府」が直面した今度の大洪水。「事実を調査する時間はたっぷりある」と語った大統領は、クーリッジではなくブッシュだったことを申し添えておく。
あわれな白人(もちろん黒人も)の土地を何とかする時間は、今までにもたっぷりあったのでは?
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。
TBありがとうございました!
すごーく参考になりました。
アーロン・ネビル版は聞いたんですが、
ランディ・ニューマンの「Good Old Boys」聞きたくなりました。
音楽はあまり詳しくないので、
またいろいろと参考にさせていただきますね。
今後ともよろしくお願いします。
役にたたない音楽ネタばかりですんません。
「Good Old Boys」は南部出身の彼が、とりわけルイジアナに思いをはせて揶揄しまくった作品です。とんでもない歌詞なのにメロディーの美しさがたまりません。
今後ともよろしくお願いします。