大雪の横浜で遭難しかけた

管理人のたわごと

備忘録と反省のために書く。
普段「雪道をドライブするのが趣味」などとのたまって、雪道を走り回っていた僕のような人間が、こっぴどい目に逢ったのが今回の大雪だった。
大雪の上大岡
前の記事でも書いたように、2月8日の大雪当日は上大岡のアメリカングラフィティ「自由へのカラオケ」イベントだった。鬼のように盛り上がったのはいいけれど、イベント終了後に入ったのは京浜急行が全線運転休止という悲報だった。念の為に自家用車で来ていたので、地下鉄やバスがあるので自力で帰れそうな方面はともかくとして、南部方面のスタッフと生徒さんは、車で送ることにした。
大雪の上大岡2
まずは上大岡駅の京急車内で立往生していたhitomiセンセの妹さんをピックアップ。総勢8名を乗せた車はまずnoriセンセの家へと向かう。

彼女の家は山の上にある。果たしてこの重量であの坂道を登れるのか?という不安を抱きつつ吹雪の中を進めてゆくと、運よく路線バスに追いついた。しかも時速15kmぐらいでゆっくり走っていやがる。まさに神に出会った気分だ。しばらく後ろにくっついてゆくとバス停で停車する模様だ。

「私はここからバスに乗ります!ありがとうございました」と独立宣言をしたnoriセンセは車を降りるとバス停まで25mほどの距離を走って行った。車内から「頑張れ!」「追いつけ!」と声援を送っていたら、笑いの神まで降りてきた。ものの見事にスッテンコロンと転んだnoriちゃんだった。かえってそれがバスの運転手を気づかせたのかもしれない。何とかバスに飛び乗れたnoriちゃんは一路山の上へと進んでいった。

そして7人が残った。
大雪の上大岡3
道路はもう凍結し始めていた。轍の上を通るようにはするけど、車輪に荒らされた鎌倉街道は、そのままデコボコ道のようになっている。車がガクンガクンと上下する。
笹下釜利谷道路は、それほど荒らされてはいないかったけど、前を時速15kmで走行する車に塞がれていた。おそらくチェーンもスタッドレスタイヤも装着していない車なんだろう。
次第に後方が渋滞してゆく。この時、知り合いの姉妹が上大岡から杉田まで徒歩で帰宅しようとしていたのだけど、二人を追い抜いたことなんて知る由もなかった。

駅近くのコンビニでuraちゃんを降ろして一服する。雪は降り積もる一方だ。
残り6人。お次はいよいよhitomiセンセ姉妹だ。この二人の家がこれまた山の上。今までも常々冗談で「大雪の日は八甲田山状態確実だね」と言っていた場所だ。まさか本当にそういう時に突入するとは思わなかった。ところが坂道を上りはじめて300mで、車輪がいよいよ空回りをはじめた。遭難したのはこの車だった。

この時になって「これが都会の雪の恐ろしさなんだ」と痛感した。
この車は真冬の深夜に三国峠を越えたり、大雪の中を日光いろは坂に登った経験もある。
ところが都会の雪はパウダースノウじゃないんだ。水分を多分に含んだシャーベットだ。しかも交通量が多いから轍が荒らされている。雪国で通用することが通用せず、登れるものも登れないのが都会の雪だということがよくわかった。

というわけで、二人を坂の途中で降ろす。
「八甲田山みたいに遭難しないようにね」と声掛けして、坂の途中でUターンを試みる。
呆れたことに、車が横滑りしながら転回してくれるので、いとも簡単にUターンしてくれた。
残りは4人。
大雪の上大岡4
坂を下ると、国道16号で最終目的地の追浜駅に向かう。
「絶対雪の対策してないだろう」という車を恐る恐る何台も追い抜いた。途中で1人、追浜駅で2人を降ろした。ここからタクシーに乗るはずだったSさんは、結局徒歩で2時間かけて横須賀中央まで帰ったのだという。トンネルが多い地帯だからまだ良かったかもしれないけど、ここまで来れば横須賀中央も一緒だ。そうだと知っていたら、お送りすべきだった。

最後は自分が帰る番。
普通ならここから国道を引き返すのだけど、どうも上りの方は渋滞しているようだ。金沢文庫から先は片側1車線になるので、身動きが取れなくなる可能性だってある。なるべく交通量が少なくて間道でも安全そうな道を選んで帰ることにした。新雪の上を走った方が全然マシだというのもあった。
140208_224408
ようやく自宅近くまで辿りつく。ところが僕の駐車場は坂の上にある。
hitomiセンセの家ほどの急坂ではないから、何とかなるだろうと思って登り始めたらあと50mという所でタイヤが空回りを始めた。一度バックをかけて勢いをつけようと思ったら、車が転回して雪だまりの深みへズボっ。進むことも引くこともできなくなってしまった。

最後にこれかよ,,,
大雪の山形県板谷峠すら越えた車は、家の近所の坂を上れなかった...

損保にレッカー車サービスがついているのを思い出し、ダメモトで電話してみる。現地に到着したら深夜でも携帯に電話して欲しい旨を伝えて帰宅、3時間ほど待機していたらかかってきたのは「到着が明日になるか明後日になるかわからない」という非情な電話だった。もはや自分で何とかするしかない、1Fの階段脇にスコップがあったのを思い出した僕は午前4時に再出動した。

何事も経験ってヤツなんだろう。
今まで雪にハマった経験がないからあわててしまうけど、冷静になってみるとこの車は前輪駆動なんだから前輪の前の雪を全部かきだせばいいわけだ。15分ほど頑張って前輪の前に1mほどの2本の「アスファルト道」を作り出した。

今度は空回りを恐れずにギュルギュルアクセルを踏んだら、間もなく車が前へ動き出した。
今夜、この坂を上るのは諦めよう。坂下に路上駐車をしようと、恐る恐るバックで下がっていった。ようやく安全な場所を見つけて車を駐車できた時は大きくひと息ついた。

ところが予想外の出来事が発生した。エンジンを切ったらなぜかハザードランプが点滅を開始するのだ。どうも雪のせいで電気系統をやられたらしい。ハザードのヒューズを抜こうとヒューズボックスを見るとびしょびしょだ。これは素人で修理できるものではない。
仕方がない。一番近くのディーラーまで車を持ち込むことにした。

ディーラーに着いたのが午前5時前。もちろんスタッフは出勤していない。
駐車場に車を停めてエンジンを切る。やはりハザードランプは点滅する。
このまま2~3時間放置したら間違いなくバッテリーが上がってしまうだろう。ハザードランプのヒューズはどれだと調べるけどわからない。やけくそでエンジンを切ったり入れたりしているウチに、偶然ハザードの点滅が止まった。

紙にボールペンで携帯の電話番号を書いて窓の内側に貼り、カギをダッシュボードに隠して、ドアをロックせずに車を出た。いくら何でもこんな大雪の日に車を盗むヤツはいないだろう。一番驚くのはディーラーかもしれないけど。ありえない大雪なんだからありえないことは起きるんだと納得してもらうしかない。

あとはテクテク自宅まで帰った。
140209_051815
思わずTwitterでつぶやいた。
「こんな時間に何やってんだろ、俺」

あとは後日談。故障の原因。
僕の車にはサンルーフからフレーム内に排水用のパイプがあるのだけど、そこが元々つまり気味だったらしい。屋根に積もった雪が溶けて急激に流れこんだため、パイプからあふれ出て電気系統に流れ込んだようだ。よくハザードランプ程度で済んだものだ。

「出勤したら車が停まっている。いや驚きましたよ」とディーラーに言われたことは言うまでもない。

管理人のたわごと