まつざき幸介「NHKきらめき歌謡ライブ」出演レポ
本日の「上大岡的音楽生活」はNHKの505スタジオよりお送り致します。
というわけで、行ってきましたNHK放送センター。
もちろんラジオ第一「きらめき歌謡ライブ(公開生放送)」まつざき幸介さん出演という晴れ舞台を応援するためです。
さて、僕はロックやポップスを深く愛する人間ですから、演歌と歌謡曲のことは、さほど詳しくはありません。もちろんこういう番組の公開放送に参加するのも初めてのことでした。だけど、それが演歌や歌謡曲であろうと、ヘヴィメタルやビジュアル系ロックであろうとそこには共通して言えることがあります。それは「ひとつの様式美に貫かれた音楽ジャンル」だということです。自分が40歳を越えた時、そういう認識を僕に与えてくれた人がまつざき幸介さんでした。
そんなまつざきさんとはもう8年のお付き合いになりますが、ようやく全国区でのブレイクポイントに来たと確信しています。3月5日に日本クラウンからリリースされた「酒よお前は(リミックス)」が大好評で、Sound Scan演歌歌謡曲チャートで7位、オリコン演歌歌謡曲チャートで14位という過去最高のヒットとなっています。その勢いを受けての今回のNHK初出演でした。
(「酒よおまえは」3月17日付オリコン演歌歌謡曲チャートで14位にランクイン)
さてこの番組、参加するには往復はがきでの抽選でした。ところがいっこうに葉書が来ない。そのうち僕の周囲で応募した方には落選通知ばかりが届くようになってきました。それでも葉書が僕の手元には届かない。ジリジリしていたらようやくこれが届いたわけです。思わず天に向かってキスしました。
NHKが全ての視聴者に対して神のように平等だってことだけはよくわかりました。当選されたある方が「悪運が強かった」なんて冗談でおっしゃってましたが、僕のは悪運だったのか幸運だったのかわかりません。とにかく8年間の想いが通じたんだと思っています。
NHK放送センターに来るのはちょうど3年ぶり。
ひょんな縁からBS「熱中スタジアム -お引越し-」に出演させて頂いて以来です。この時は西門から入場したのですが、今回の集合場所は渋谷区役所側入口。いつも紅白歌合戦などでタレントが車でサーッと乗り付ける入口ですね。歴史マニアならば「二・二六事件慰霊像のある側」なんて思うでしょう。
そこで「まつざき幸介ファンクラブ港南区関係(仮)」の方々と合流。
いや、凄いですね。皆さん手作りのうちわを持参です。
(プライバシーに配慮して画像が小さいです)
皆さん、応援する気マンマンでした。
掛け声をどこで出すか(あわせるか)なんて打ち合わせをしているんですよ。僕はビジュアル系ロックバンド「某」のライブへ時々行くのですが、その想いにおいても、その純粋さにおいても全く同質のものを感じました。
集合時間が来ると整理番号順に2列縦隊で並ばされ、スタジオまでの階段を上ってゆきました。505スタジオ(内部撮影禁止)はラジオ専用スタジオで、主に公開歌番組などの演奏収録に使用されるようです。ビル3階分にもなろうかという高い天井が印象的でした。
(CRはRadio。CTはTelevison)
スタジオに入場してから番組放映までは30分ほど時間があります。観客の方々はトイレに行ったり、廊下でお弁当を食べたりの自由時間。だけど常に制作スタッフがどこかに立っていて、余計なことをしないように見張っています。
(スタジオ入口にある出演者リスト)
そして20時。プロデューサーの紹介とともに、「のど自慢」でもおなじみ徳田章アナウンサーが登場。会場がそれだけで盛り上がります。
本番3分前にもかかわらず、いきなりオープニングBGMとともに、一分ほどの番組冒頭ナレーションが始まりました。「あれ、時計間違ってないか?」と思っていたら「本番ではこの三倍ぐらい拍手して下さいね」ときました。おそらく徳田さん流に会場をヒートアップさせたのでしょう。そして観客とのやりとりがあって、ちょうど本番1分前に待機状態となったのです。プロの司会者ってこういう時間配分も神業ですね。
というわけで20時5分本番開始。
徳田さんが今日の出演者を読み上げてゆきます。
城之内早苗
大泉逸郎
大石まどか
川崎修二
渕上雅代
まつざき幸介
まつざきさんの名前が読み上げられるだけで、何かこみあげてくるものがありました。
レギュラーのバックバンドは元ブルコメの三原綱木さん指揮の「ザ・ニューブリード」なのだけど、今日は川上慎一さん指揮の「ザ・サウンドメーカーズ」でした。
(こんな所に放置すんなーとすぐに連絡できる合理的な管理方法)
トップバッターは城之内早苗さん。この人の声質がとても好きだというのもあるのですが、やはりおニャンコ世代としてご本人を生で見れるというのは嬉しいものです。今でもとても可愛らしい。そして小柄な体から出る圧倒的な声量と歌唱力は、やはりベテラン中のベテランでした。
大泉逸郎さんには別の意味で同時代を共有した感覚を持っています。この人の代表作「孫」はCDショップの店長時代に最も売った演歌シングルでした。じわりじわりと動き出して途中からそれが止まらなくなったのです。1999年当時はどんなに売れたとしても演歌のシングルを一度に10本(当時はカセットテープが主流だった)以上仕入れるという経験はありませんでした。だけどこの人の場合は一度に30本ぐらい仕入れても飛ぶように売れていったのです。最終的には250本は売ったと記憶しています。
僕が驚いたのは「雪の最上川」。冒頭の「ヨーエサノマカショ エンヤコラマーカセ」という船頭風の節回しには背筋がゾッとしました。これはもう黒人のデルタブルースと一緒ですね。大泉さんの歌唱力それ以上に、この節回しは東北(山形)に生まれ東北で育った「血」みたいなものが出しているのだと思いました。誰でも真似できるものではありません。
(「きらめき歌謡ライブ」制作班に姿見用の鏡をあと3面貸し出しました。合計5面貸し出したことになります。鏡は全部で12面あるので、返却したら総在庫数を記入すること....という意味かどうかはわかりません。)
そして大石まどかさん、川崎修二さん、渕上雅代さんの歌唱が続きます。
渕上さんが歌っている時に、遮音衝立の影にまつざきさんの姿が見えました。和やかに誰かと談笑している。見ているこちらの方が緊張してきました。
徳田アナが紹介する。
「続いての登場は"男泣きソング"として今話題となっているまつざき幸介さんです」
そしてまつざきさんが登場。なんかこの姿だけで「もう充分!」と思ってしまいました。
裏返せば心配でコチラが緊張しているんですね。
大丈夫だろうか?歌詞間違えないだろうか?とちったりしないだろうか?...今まで応援してきた人たちはみんな同じ心境だったと思います。もう全員保護者状態です。
何しろ生放送だし、これだけ大編成のバンド演奏をバックに歌うのも初めてなはず。
体を乗り出して両手を握って、ひたすらまつざきさんを凝視していました。
そんな中で一番冷静だったのは、当の本人だったのかもしれません。
徳田アナが出演者たちの衣装にラメが入っているのを度々話題にしているのを受けて「僕の(衣装)も光ってますよ、ほら」と言い。小学生時代にチューリップのライブを見てからドラマーに憧れて、雑誌をドラム替わりに練習した話。大学生の時にアルバイトで演歌と歌謡曲の世界にどっぷり浸っていった話、社会人時代にカラオケ大会に出まくった話。平成18年からインディーズ歌手として活動を始めた話などをしっかりとやりとりしていました。
「それでは歌って頂きましょう、同世代の男の共感を呼ぶ「酒よお前は」です」という紹介とともに演奏が始まりました。
観客席からは「まっちゃーん」「幸ちゃーん」「まつざき!」と声援が飛びます。僕も天井からつるされている観客用マイクに向かって何度か叫びました。後で自宅でラジオを聞いた娘から「お父さんの声、わかったよ」と言われたぐらいです。
まつざきさんの歌唱は素晴らしかったです。
ここで歌えることを楽しんでいました。
気負わず、あせらず、いつものまつざき節でした。まつざきさんの声には体の奥底から出てくるしっかりした骨があって、それでいて実にいい甘いトーンが乗っている。これがまつざきさんの歌声の魅力だと思っているのですが、それが生演奏ならではの迫力の中で、演奏に負けることなくしっかりと伝わってきました。歌が終わった時、自分の心の奥底からサイダーの泡みたいに何かが沸き起こってくるのを感じました。
僕は今月でこの仕事を始めて10年になります。そんな中には忘れられない瞬間が沢山あります。倉持明日香ちゃんに「(AKBの)オーディション受かりました」と言われた時もそうでしたし、東日本大震災直後の日々も忘れられません。まつざきさんがらみでは、上大岡駅前のストリートライブでヌッキー竜氏の伴奏でまつざきさんに歌ってもらったら、ギャラリーのおじさんに「兄ちゃんうまいなぁ。絶対プロになれるよ」と言われていた事が忘れられません。今回の出来事もそんな1ページとなるのでしょう。
こういう時にはひとりの人間として純粋に「明日死ぬなら、今日死にたい」って思います。2005年に交通事故で九死に一生を得たからなおさらそう思うのかもしれません。でも次の瞬間には「お次は歌謡コンサート(演歌の登竜門的テレビ番組)だ!」「その次は紅白だ!」って思うわけです。もちろん経営者としても「死ねるわけないだろ!」って思うのは当然です。こういうの、本当に際限がないですね。
そんな中、まつざきさん本人が一番冷静なんだと思います。。
あの方は、今までどおり着実に一段ずつ上へと上ってゆくことでしょう。
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