杞憂

管理人のたわごと

ある生徒さん、仮にA君としておく。
が、いわゆる"Bar"に勤めはじめた。

それ以来みるみる目に生気がなくなっている。
いつも疲れた顔をしている。
しかも時折顔に傷やアザを作って帰ってくる。
「どうしたの?」と尋ねると、
「いや、棚にぶつけました」
なんて言っている。

心配になってきて、キタさんに相談してみたら、
「夜の仕事ゆえ、睡魔をのぞくために覚せい剤を打たれているんじゃないか」なんて恐ろしいことを言う。僕自身も「逃げると暴力をふるわれる関係」を頭の中に描いていた。元来下戸で"Bar"などという場所を行ったことのない僕の頭では様々な想像が渦巻いていた。

「今日、その店に行ってみようと思う」と言ったら、
キタさんが「僕も行きましょう」と言ってくれた。
haruさんも行くという。

僕とキタさんが先発することにする。
ヘンに食事して1万円の請求書を出されてもヤバいので、
先に佐野金でラーメンを食べて腹いっぱいになってから行くことにした。

「まさかウィスキー一杯7万円なんてことはないでしょうね」
なんて会話をしながら店に入る。

杞憂だった.....
その店はとてもいい雰囲気だった。
マスターは真面目そうな人で、とても従業員に覚せい剤を打つような人じゃない。でも接客マナーに関してはとても厳しそうな人だった。

出されたメニューの中にはオリジナルカクテルのPOPメニューがついていた。中々洒落たデザインで作られているPOPメニューだった。そこにはカクテルのできた経緯が書いてあるのだが、マスターとA君との会話まで再現してあって、マスターがA君を大事にしていることが感じられた。

A君は一生懸命働いていた。
まだ余裕がないのだろう。
緊張感が体からにじみ出ていた。
僕らが来たというのも緊張感を増していたかもしれない。

大変そうではあったけど。
そのA君にとってこれは戦いなんだろうな、と思った。
若いのに正面から戦っている。と感心した。

キタさんと僕とharuさんは3時間も話し込んだだろうか。
話ははずんでとても美味しいお酒となった。

あっ、僕はジンジャーとコーラでしたけどね。
(内容上、A君はコメント入れないでね)

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