こんな夢をみた
最近はあんまり夢を記憶しているってことがないのだけど、昨晩は恐ろしく鮮明で不思議な夢をみた。
ちょっと書いてみる。
僕は日本陸軍の将校か何かで、戦時統治下の東南アジアのどこかの国の王宮にいる。その王宮というのが広島の厳島神社そのまんまで、海の上に建てられた長い回廊と大小の建物からできている。海の向こうには日本アルプスかヒマラヤかはわからないけど、山頂を白い雪で覆われた山々が見える。
日本が太平洋戦争で終戦を迎えたために、敵国が進駐してくる前にこの国から逃げ出さなければならない状況だった。そうしたらその国の王様が「今までわが国に貢献してくれた御礼に勲章を贈りたい」と言うので、王宮の玉座に近い間に伺候しているところだった。
ところが、勲章をもらう日本軍人は多いようで、王宮の長い回廊をぐるっとひとまわり日本軍人の行列が並んでいる。その人数は300人近くいたのではないだろうか。僕はその行列の最後尾についたけど、随分待たなければならないようだ。勲章をもらと、軍人たちは三々五々王宮から逃げ出していった。
そこで夢の記憶は寸断し、勲章をもらうシーンとなった。国王はなぜか昭和天皇のお母さん(なんとなくそう感じた)で、流暢な日本語を話した。内心「はて勲章をもらうような事をやったかな?」と思いながら勲章をもらう。
気づくと王宮には軍人の気配はほとんどなくなった。ガランとした王宮に、アリさんマークの引越社の段ボール箱に中途半端に家財道具が詰めこまれたまま放置してあった。
みると私より階級が高そうな軍人が、安楽椅子に座ったまま、なにやら考えごとをしている。
僕はその軍人に話しかけた。
「あなたは逃げないようですけど、ここで腹を切るおつもりですか?」
そうしたらその軍人が、
「いえいえ、とんでもない。死ぬ気なんかありませんよ、どうやって逃げ出すか思案していたところです」と言った。
何だか日本軍人にない物腰の柔らかさを感じたので、僕は言った。
「どうです、王宮の外に僕のジープがありますから、それで逃げませんか」
すると、その軍人は
「わかりました、逃げましょう」と言った。
「まだお名前を伺っていませんが、あなたは?」と尋ねると、
「私は横光利一です」と名乗った。
はて、たしか作家だったな、と思いながらも、なぜかその点には触れずにジープに彼をのせて、ひたすら国境まで車を走らせた。
途中で日本人の村を通り過ぎると、現地人の襲撃にあったのか、方々の家屋から火が出ている。
驚いたのは、ある庭先の物干し竿に日本人の生首がいくつも紐で吊り下げられていることだ。
「ちくしょう、ひどいことするなぁ」と僕が言うと、
「仕方がないでしょう」と横光利一がつぶやく。
なんだかその言い方が作家ぽいなと思った。
ふと気づくと我々はすでに日本にいた。
どうやら国境を越えたってことなのかもしれない。
おそらく彼の家と思われる日本民家の庭先の縁側に座って、
さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びながら、僕と横光利一はぼーっとしていた。
「ようやく逃げられましたね」と僕が言うと、
「そうですね。何とか逃げられました」と横光氏。
なんだかその言い方が作家ぽいなと思った。
すると、どこからともなく3歳ぐらいの子供が泣きながら庭先にあらわれた。
我々はその姿を見て驚いた。
衣服はほとんどまとってなく、体中が怪我による血で黒ずんだ状態である。
あわててかけよると、臀部に親指大の大きな傷がある。おそらく銃で撃たれたのだろう。
「うわぁ、あの日本人の村から逃げてきたに違いない!救急車を呼んで下さい!」
「わかった!」と横光氏は奥の部屋へと電話をかけに走っていった。
....と、ここで目が覚めた。
明け方に千葉県南東沖で発生した地震に起されたのだ。
実に不思議な夢だった。
この夢にはいくつか説明可能なサムシングがある。
「厳島神社っぽい王宮」→昨年の11月に厳島神社に行っている。しかし直接的にはマイミクのtaiさんの日記に「宮島SAから高速に乗って」とあったのが原因だと思う。「はて宮島SAって広島のどの辺なんだろう」とGoogle Mapで調べた時に、一瞬脳裏に厳島神社の光景が浮かんだからだ。
「海の向こうの山頂が雪で覆われた山々」→これもtaiさんの日記に間違いない。taiさんのお宅の方は雪が積もっているというような記述があった。その時に脳裏に厳島神社の対岸の山々に雪が積もっている光景をイメージした。それが夢に出てきたことは間違いない。
「庭先の物干しに吊るされた生首」→これはJUNYA君のmixiの日記に間違いない。何でも通勤途中にマネキンの頭部がビニール袋に沢山入れられて投棄されていたとか。
「3歳ぐらいの子供」→そろそろ「広島の記憶」の記事の続きをUPしようかなと、思っていたところだった。
「アリさんマーク」→今まで3回利用しているからだろう。「有名になる前から使っていますよ」と営業の方に言ったら、わざわざ過去の履歴を調べてくれて、京都から横浜への引越しを大サービスしてくれたことがあった。
夢には強烈に印象に残ったものより、サッと心をよぎったものがよく出てくるようだ。
この4点は理解できるのだけど、あとが全く理解できない。
「日本陸軍の軍人」→自分自身が「何か」になって登場するという夢はあまり記憶がない。何でそういう役柄なのかも理解できない。最近この手の戦争映画を見た記憶もない。また東南アジアの王宮という設定も不明だ。以前タイに在住している友人から「タイは軍事クーデターとか政変が多いけど、国王のラーマ9世は国民から敬愛されているよ」という話を聞いて「へぇ~、じゃあどことなく日本と似ているなぁ」と思ったことが、あるいは関係しているのかも知れない。
「横光利一」→この人の小説は、授業で「機械」を読まされたことがあったけど他の作品など何一つ読んだことはない。何でわざわざこんなところに登場するのか全く理解できない。夢に出てきそうな作家なら他にいくらかいる。
気になったのでウィキペディアで調べてみたら、こうあった。
「世相が戦争に向かう中、国粋主義的傾向を強めてゆき、文芸銃後運動に加わる。(中略)海軍に徴用され報道班員となった(中略)敗戦後に文壇の戦犯と名指しで非難されることになり、横光の評価を落としていくことになる。」
報道班員とはおそらく戦地に従軍して記事を書く人だと思うけど、こんな話は知らなかったぞ。
「ジープ」→日本軍の乗り物じゃないことは知っていけど、なぜかジープに乗って逃げている。
何年に一回か、自分の想像の範囲をはるかに超えた夢をみることがある。
20年前にみた夢では、熱海の旅館の部屋に入ったら、大聖堂の大きなドームのようになっていて、極彩色の照明が照らされる中で聞いたこともないような至上の音楽を耳にしたことがある。
そんなときはまず第一に自分の脳みその中身を疑りたくなる。
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