病院にて

2005/10/5 水曜日

051004_02.jpg毎度毎度の通院だが、たまにロビーでみかけるおじいさんがいる。
何かにいつも腹をたてている。静かなロビーで大声を張り上げてヘルパーさんを小突いたりする。

最初は何事かと思ったが、みれば車椅子に乗っている、呂律のまわらない話し方といい、不自由そうな右半身といい、どうも脳卒中にかかったことがあるようだ。

付き添っている60歳前後のヘルパーさんは、慣れたもので。「ハイハイ」とか言いながら、おじいさんの怒号をかわしてゆく。

このおじいさんほどではないが、僕も交通事故に遭った直後は、意味もなく怒りっぽくなっていたことを思い出す。

とにかく理由などない。
ひたすら自分の半径数メートル内に存在するものがうっとおしかった。たとえば歩道を歩いているとする。自分の2m先位を、同じ速度で歩いている人間がいたり、自分の真横を追い抜かしてゆこうとする人間がいると、それだけで大変暴力的な衝動に駆られたものだ。

ファミレスなどで、食事をしている。自分の方をチラチラ見る人がいる。単に斜め向かいの席に座っているだけなのだが、それがうっとおしくて、家内と席を替わってもらったこともあった。

ようやく車を運転しだした頃、マイペースでちんたら前を走っている車に、ぶつけたい衝動に駆られたこともある。

カッコ良く言えば「Punk Rock的な暴力の衝動に駆られていた」ということなのだが、単に、手負いの猫がナーバスになっていただけのことだ。でもこれは不意打ちのように事故に遭った人間にしかわからない心理だろう。

さてこのおじいさん。不自由な体は今後ますます悪化してゆくのだろう。
不意に思うようにならなくなってしまった自分の体、そして思うようにならない自分の運命。
こうしたものを背負ってしまったおじいさんの苛立たしい気持ちが、あの事故以降、妙に理解できる。

いっぽうで、あのおじいさんのようになりたくないと、切実に思う。
だから家内には頼んでおこう。
僕が脳卒中になったら、医者と密談のうえ、ひと思いにあの世へやって欲しい、と。

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