クーちゃんの日

管理人のたわごと

食事をしている人は絶対に読まないで下さい。

我が家には居候の野良猫がいます。
野良猫の「まみ子」が裏の物置で生んだことは以前に書きました
最初は名前をつけると愛情がうつるという理由から名前をつけていないかったんですが、黒っぽいシマ→黒→黒ちゃん→クーちゃんという具合になり、勝手にそれが呼び名となっています。

そんなクーちゃんは僕のことが嫌いなようです。
それが「ねこ鍋にしたらおいしそうだな」と言ったことが原因なのか、まだ子猫だったころ「うぉー食べてやる」と言ってクーちゃんの頭部を丸ごと口の中に入れようとしたのが原因なのか、クーちゃんを抱きながら煙草を吸っていたのが原因なのか、クーちゃんの体に"しゃもじ"を縛り付けて「"猫も杓子も"というのはこういう状況のことだ」と子供たちに説明したのが原因なのか、立たせて「猫じゃ猫じゃ」を踊らせたことが原因なのかはわかりません。

とにかくクーちゃんは僕に対して一定の敬意を払いながらも、僕がやってくるとコソコソ隠れるという相反した行動をずっと繰り返しています。

さて、日曜日の夜のことでした。
いつものように外まわりから帰ってってきたクーちゃんの後脚のあたりに「焼きそば」のようなものがついているのを発見したのはカミさんでした。僕はその時、隣の部屋にいたのです。
カミさんの「クーちゃんに何かついてる。何やろな、これ」と言う声に気づいて見た瞬間、僕は小さな叫び声をあげました。
カミさんが持っていたのは、Toxocara catiと呼ばれるモノだったからです。
「お前、それ....」と言った瞬間にはカミさんもそれが何かに気づきました。
「うわぁ!」と叫んで「それ」を放り投げました。

「それ」は次女の筆箱の上にペタンと乗っかりました。
僕はあわててティッシュでそれを掴みあげると、何重にもティシュで包み込んでゴミ箱にポイしました。
その瞬間に長さをみたのですが、30cmぐらいはあったんじゃないかと思います。

カミさんにも僕にもかなりの衝撃が走りました。
二人の叫び声に驚いて、逃げ出そうとしているクーちゃんに対して「おいクーちゃん」と呼びかけたのですが、次の言葉が出てこないのです。

「と、とりあえず、あれだ」
僕はカミさんに言いました。
「俺も長年生きているけど、〇虫を持った女性を見たのは初めてだ」。

(かご猫)

乙女盛りの次女がその場にいなかったことを幸い「筆箱の件は永久に内緒にしておこう」ということになりました。

翌日は月曜、僕は仕事が休みなので必然的にクーちゃんを病院に連れてゆく係となりました。
ただ、この日は請求業務がありました。また15時30分すぎに長女が帰宅するタイミングで子供たちを車に乗せ、16時45分までに関内のパスポートセンターまで連れてゆかなければなりませんでした。さらに17時15分までに馬車道の労働保険事務所に保険関係の申告書を提出しなければなりませんでした。
そんなわけで、午前中にはクーちゃんを病院に連れてゆきたいと思っていました。

ただ問題なのはクーちゃんをしっかり捕まえられるか?ということでした。僕が来るとコソコソ物陰に隠れるか、専用通路から家に外に逃げ出してしまうかのどっちかだからです。

10時30分ごろ、クーちゃんがガラス窓の向こうから「開けてくれ、にゃあ」と言ってきました。
お腹がへったから帰ってきたよという意味です。
よっしゃあ、今つかまえれば午前中にお医者さんに連れてゆけるぞ!と僕は喜びました。
そこで珍しくえさとは別に水で薄めた牛乳を用意し、室内に入ってきたクーちゃんに「おいで、おいで」とやりました。

(天窓で寝るクーちゃん)

ところが猫の勘というのは相当なモノです。
コチラの企みに気づいたのか、サッと専用出入口に駆け上ると逃げ出してしまったのです。
僕は「馬鹿野郎!」と呟きました。
「今日の予定が滅茶苦茶じゃないか」と言いました。
たかが猫に対してです。

仕方がないので病院行きは明日以降にまわしことにして、出社して請求業務を行いました。
15時すぎに帰宅すると、すでに次女が小学校から帰っていました。
「クーの馬鹿野郎が逃げ出すんで病院に行けなかった」ことを言うと、
「いま表にいたよ」と娘。
クーちゃんは娘からは逃げないので、
「それならば捕まえてきて!」と言うと、
「うん、わかった」と娘。

急いで動物病院に電話し、予約を入れます。
そして数分後、娘が得意気な顔をしてクーちゃんを抱きながら部屋に入ってきました。
それをキャリーケースに入れると、車に乗って二人で病院へ。
その間、クーちゃんはケースの中で「出してくれにゃあ」となき続けました。

病院に入ったのが15時25分、状況を説明すると、
「ああ、それは〇虫ですね」と言って薬を飲ませてくれました。
意外だったのはクーちゃんは思ったよりも抵抗もせず、事態を受け入れている風だったことです。
15時40分、長女から「いま学校から帰ってきたけど、どこにいるの?」というメールが入りました。
「クーちゃんを連れて病院にいる。今からダッシュで戻る」と返信。
そして自宅に戻るとクーちゃんを解放。そんなクーちゃんをなだめている子供たちを無理やり「さかさまに」車に押し込んで"Back To The Future"のデロリアン並みの加速で関内へと発進しました。

16時40分には何とかパスポートを受け取り、お次は労働保険の事務所へ。申告が終了したのが17時10分でした。
僕はもう「ぜいぜい」いってました。

カミさんの勤めている会社はすぐそばです。
17時30分すぎに退社するので、待ち合わせして馬車道のスープカレー屋さんの「らっきょ」で食事をしました。何年も前にゆっちぃに教えてもらった店ですが僕の大好物のスープカレーです。
カウンターに4人で腰かけ(うち3人が左利きという状況)て、クーちゃんの経過をカミさんに報告しました。
さすがに場所がら具体的な話はしませんでしたが。

そこで出たのは(〇虫とは関係ないけど)クーちゃんをお風呂に入れて体を清潔にしてやろうということでした。彼女を風呂に入れたことなど、今まで一度もなかったんです。
そういう風に話が飛躍してしまうのが、ウチの家族です。

そこで帰りがけに「猫用シャンプー」というのを買うと.....今気づいたのですが、猫は全身が毛に覆われているから、「ボディーソープ」ではなく「シャンプー」なんですね.....いよいよプロジェクト開始です。
最初は子供たちにやらせようかと思いましたが、とにかく「危険」なので、結局僕がやる羽目になりました。

猫の体を洗うのは実に35年ぶりです。
でもひとつのコツがあると思います。それは「容赦なく、無慈悲におさえつける」ということです。油断していたら体中を引っかかれます。

ここでも猫のカンというのは相当なもので、風呂場に入ろうとするだけで風呂場の扉に爪をひっかけて抵抗するのでしうた。そんなクーちゃんを後ろから羽交い絞めにして、前脚を片手で縛るようにして抑え、片手でシャンプーをかけてゴシゴシとやりはじめます。こっちも長袖で重装備はしていますが、もうビショビショです。

クーちゃんは「頼むからやめてくれにゃあ」となき続けます。しかし手加減は禁物です。ちょっとでもかわいそうと思って力を抜けば、次の瞬間には腕に傷を負うからです。

びしょ濡れでやせ細ったクーちゃんをバスタオルで何重も巻くと、あとは子供たちに渡しました。

これだけ衝撃的な出来事が続くと、クーちゃんの心理がどうなるか心配でしたが、
翌日、平然とした顔をして「開けてくれ、にゃあ」をしにきました。

そこでクーちゃんに聞いてみました。
「お前な、体がきれいになったこと、わかってんの?」
「にゃあ」
「わかってないだろう?」
「にゃあ」
わかっているんだか、わかっていないんだか、そこがよくわからないクーちゃんでした。

管理人のたわごと