井上ともやす&よしだよしこ / 相模大野アコパ

さあて、どこから書いていいのやらという感じなんですが、とにかくライブ会場までThe Bandの2nd Albumを聞きながら行ったのです。9月にリリースされた50周年デラックス盤を聞きながらね。このアルバムには「The Night They Drove Old Dixie Down」という曲が収録されています。

高校の一年後輩となるミュージシャン、井上ともやす君からの誘い文句は「(二人の母校&サークルである)国府台高校のフォークソング同好会のOBも来ますよ」という殺し文句が。
こりゃあ行かなきゃいけません。

相模大野「アコパ」

共演のよしだよしこさんは1970年代に伝説のエレックレコードから「ピピ&コット」のメンバーだった方。そう、よしだたくろう、泉谷しげる、古井戸がいたあの伝説のレーベルです。

よしださんの「地球の夜」という曲を聞いて、「和製ジョニ・ミッチェルだな」って思いました。音楽の作り方がとても自由なんです。自由でしかもいい。なんか「曲を作ろう」として作る曲じゃなくて、メロディーのおもむくままに作る。コードは後から付いてきている。こういう曲の作り方できる人ってホント少ないと思います。

よしだよしこさん

そうしたら本当にジョニの曲「River」と「The Circle Game」を日本語訳詞で歌ってくれた。これは嬉しかったなぁ。

それ以上に驚いたのが難民に触れたMCの後に「Deportee」を歌ってくれたことでした。アメリカに労働で収奪した挙句、強制送還中に飛行機が墜落し、亡くなった名もなき「追放者(Deportee)」たちの歌です。僕はこの曲をThe Byrdsのバージョン(曲の終わりにアポロ11号発射のSEが入る)で知ったのです。よしださんはこれをオリジナルのウディ・ガスリーのバージョンでプレイ。

国府台高校フォーク同好会のOB3人の方とご一緒しました。僕よりも年代が上なので、一番若い先輩の卒業直後に私が入学した感じ。でも生徒会館のボロさや、元歩兵連隊の宿舎だった校舎の古さや、校則のない自由さ、3年生なのに文化祭の演劇に力を入れ過ぎて卒業しても浪人する人ばかりという話で盛り上がる事ができました。何よりも音楽&母校という二重の話の濃さ、これは凄かったです。

そうそうドリカムの中村さんも母校も同じ、同好会も同じの大先輩なんですよ。

そしてともやす君のステージ。「君」なんて先輩面ですが、それはそうなんだから仕方ない。でも37年前と全くブレていない音楽に対する真摯な姿勢と、圧倒的なステージングには畏敬の念を抱いていますし、何よりも彼は音楽の大先輩だと思っています。でも「ギター上手くなったね」と茶化す事は忘れませんでしたがねwww

井上ともやす

彼のステージを見ていると、もうそれは歴千の勇士が持つ「力」なんですね。音楽と言葉が結びついてメタル級の説得力で直撃してきます。それに圧倒されます。言葉だけじゃだめで、音楽がそれと結びついて、脳みその中を攪拌してくるんですね。

「音楽は力なり」。彼のステージにその言葉を改めて感じた、いや教えられた先輩でした。

よしだよしこ&井上ともやす

最後によしださんとともやす君のステージ。
何をプレイするのかと思えば「The Night They Drove Old Dixie Down」をプレイしたのには驚きました。だってさっきまで聞いていた曲ですからね。二人でこれを日本語訳した歌詞で歌うんです。その曲名は 「崩れ落ちるものを感じるかい?」 だそうです。

この曲の歌詞なんてあまり考えた事もなかったので、こうして聞けたのはとても新鮮でした。

ライブ後に国府台OBを連れてきて下さった女性とお話をしてびっくり。10年前に関内の「Lazy Bone」でQueenの弾き語りをするTEAさんという方のステージを見て舌を巻いた事があるのですが、実はこの方、TEAさんの奥様でした。

というわけで音楽の力は人と人まで結びつけるんだってことですね。縁は大切にしなきゃうんうんの管理人でした。