幻のラーメン屋を求めて

“Image Acoustic Night 2009″の打ち上げの後のことだ。

グデングデンかつ上機嫌なヌッキー@リュウちゃんを送って帰ろうと思い、車に乗せた。

なお僕のことをご存知の方はわかると思うけど、僕は徹底したコーラ野郎である。コーラ野郎には悪いクセがある....それは酔っ払いを面白がって観察するクセだ。

車内でリュウちゃんが、
「宗さん、今日最高!ホント最高、もうラーメンご馳走しちゃいますよ!家系行きましょう!家系」と言う。
僕も家系ラーメンは大好き!
そう言われるとラーメンがむしょうに食べたくなってくる。
みるみるうちに脳内をラーメンの風景と豚骨醤油の味とが占拠してゆく。こうなると止まらない。

時間は午前0時20分ぐらいだった。
近くの杉田家を目指せば、あるいはギリギリ閉店に間に合ったかもしれない。だけど、国道16号から産業道路へとUターンするのがめんどうくさかった。とにかくめんどうくさかった。
そのまま16号を直進して磯子の「壱六家」を目指すことにした。

ところがすでに「壱六家」は閉店。
そうしたらリュウちゃんが、
「まいったな~、んじゃ本牧家、本牧家....根岸の先にあるんで真っ直ぐ行きましょう!」

この時点で、僕の脳内をかすったのは、
「はて、本牧家っていうのは確か環二沿い(下永谷)にあるけど、根岸の方にもあったかいな?」というものだった。

きっと「本牧家」の本店が根岸にあるのかもしれない。だって「本牧」だものな。
まあ行けばなんとかなるんだろうと思い、根岸を越えてさらに直進する。
僕も思考回路がややショートしている。
隣でリュウちゃんは、「いやぁ~今日は面白かったなぁ~」を連発している。

ところが間門の交差点で信号待ちをした際、
リュウちゃんがボソッと「アレっ?」と言う。
「なかったな~」と言う。
「なかったですよ~」と僕。

とりあえず直進しても何もなさそうなので、信号を左折して本牧方面へ。

そうしたらリュウちゃんが
「宗さん、そうしたら田中屋行きましょう、我が青春の思い出!田中屋、いいですよ~田中屋」

というわけで、山手トンネルを越えて、関内駅前を左折して鎌倉街道へ。
途中にあった何か話題の「ラーメン二郎」を指差して、
リュウちゃんが「おーっ!ラーメン二郎!」と言った。
「おーっ!」と言うけど、リュウちゃんあまり興味がない模様。

ようやく午前1時過ぎに田中屋へ到着。
上機嫌で車を降りるリュウちゃん。
「田中屋いいですよ~、何てったって青春の田中屋ですからね~」
どんな青春かがよくわからないけどお店に入る。いきなり店員に言われる。
「すいませーん、もう閉店です」
すると、リュウちゃんが、
「えーっ、何とかしてよ~、青春の思い出なんだからさ~」
むろん店員にも何が青春の思い出なのかわからない。

結局、横で「ちくしょ~」を連発するリュウちゃんをなだめて、鎌倉街道をはさんで、おむかいにある「司」というラーメン屋さんに入る。

「司ラーメン」を注文する。
ラーメン司
「宗さん、今日は最高!楽しかったよ!」
それは凄くわかる。今日は本当に楽しかった。
僕もリュウちゃんも楽しかった。
ステージでリュウちゃんが歌っているのをみて楽しいのが伝わってきた。
Johnのリュウちゃんもいいけど、ナガブチのリュウちゃんには、いい意味で後先を考えていなかった。
全てを出し切ってしまう、直球で飛んでくる音楽と魂がじいんと伝わってきた。

出てきたラーメンを、食べる。
深夜の1時すぎに、おっさん2人でラーメンを食べる。
リュウちゃんは「あ、美味しいわ~、これ。美味しい美味しい」を連発している。やや太麺でイワシ系のスープだった。

「宗さん、"HELP"のアレンジ、ありゃあいいや。あんな"HELP”は凄いよ」
リュウちゃんにそう言われたこと、大変光栄だった。
食べ終わって、リュウちゃんにごちそうしてもらい、上大岡を通りぬけて自宅まで送り届けた。
最後は助手席でシャックリを連発しているし、何だかグダグダなんでで大丈夫かな~と心配していた。

翌日調べてみて、わかったことがある。

根岸にはもう「本牧家」はない。
環二沿いに移転している。
そもそも「本牧家」が移転したのは、10年も昔のことだ。

横浜にずっと住んでいて、家系が大好きで、「本牧家」へ数キロのトコロに住んでいるリュウちゃんだが、はたしてそれを知らなかったのだろうか?。
リュウちゃんの記憶は10年以上前に飛んでいたんじゃないかと思う。

なお、リュウちゃんはあの日の夜に食べたラーメン屋さんの名前も、味も覚えていないらしい。そもそも何で自分が関内にいたのか、その経緯もよくわからないらしい(苦笑)。
ちなみに上の画像はリュウちゃんが撮影したものだけど、それも覚えていない。

僕は翌日、関内にヤボ用があったので、田中屋へ寄ってみたが、あいにく定休日だったため、いまだ食べずじまいだ。

幻のラーメンを求めて彷徨した話、これでおしまい。