The Whoの単独来日公演決定!

上大岡的音楽生活

僕の音楽人生を代え、今なお僕にとって別格の存在であるThe Who。彼らの単独来日公演がついに決定した。

この半年ほど「世界ツアーの最後に来るのでは?」というウワサだけはあったけど、今回の発表は布団の上ででんぐりがえしをするほど嬉しかった。情報としては6/18の2ch掲示板が一番早かったらしい。翌日には公式サイトでも情報が公開されていたし、昨日の新聞各社に広告も掲載されていた(僕はキタさんからのメールで知った始末)。

11/13 大阪公演 (大阪城ホール)
11/14 横浜公演 (横浜アリーナ)
11/16 埼玉公演 (埼玉スーパーアリーナ)
11/17 東京公演 (日本武道館)
【料金】S¥12,000 A¥11,000(座席指定/税込)
ウドー音楽事務所

本日インターネット先行発売だったので、このうち11/17の東京公演を家族4人分確保した。子供たちも2度目のThe Who体験となる。ついでに誰かを誘って行こうと11/14横浜アリーナも4枚確保した。もう無茶苦茶だ。

ここで1曲 “I Can’t Explain (1965)"。現存する彼らの最古の映像。

さて、いま40代前半でThe Whoのファンならば1980年代の不遇な時代を経験しているはずだ。何しろ1982年には一度解散している。入手できるレコードもCDも少なくなり、ほとんど情報らしい情報もなかった。新大久保あたりのアヤシゲなレコードショップを歩き回って餌箱漁りをしたこともあった。"KIDS ARE ALRIGHT"のビデオをレンタルしている店が高田馬場にあるという情報を入手して、わざわざ市川の行徳からレンタルしに行ったこともある。渋谷陽一ごときにラジオで公然と「The Whoのこと、(僕は)よく知らないんですよね~。こんなこと言ったらWhoのファンはマニアックだから、怒られて袋叩きにあいそうなんですが」なんてラジオで言われた。日常会話で「好きなロックバンドは?」と尋ねられて、「The Who」と答えると必ず「(よくは知らないけれど)マニアックだなぁ~」と苦笑された。当時のロック雑誌には小さく画像が掲載されていて、「世界ではThe BeatlesやStonesに次ぐ人気があるけど、日本ではイマイチ!?」なんていう褒めてんだかけなしてんだかわかんないキャプションがあった。
そう、日本で不当に差別されてきたのがコイツラだった。

ここで1曲 "Substitute (1966)"

もっとも差別されるだけの理由がそこにはあった。1960年代のUKビートロックの潮流の中で彼らがデビューした時、日本では
UKロックといえば、Beatlesの流れにあるポップなリバプール・サウンド系の音か、ディープなホワイトブルース系の音に二極化されていたのだと思う。The Whoも「R&Bのバンド」と言われるけれど、それは下の有名なポスターのインパクトが強すぎるだけで、実際は1stアルバム以後の彼らはもっとビートロックやポップロック色を強めており、このサウンドは必ずしも日本では受けなかったようだ。

1970年代になると、彼らの音は「ハードロック」へと変化してゆくが、彼らのプレイはLIVEを体験してこそ味わえるもので、当時来日すらしなかった彼らの音を日本人が体感することは難しかったと思う。僕はたまたま映画「Woodstock」における彼らのステージを見て衝撃を受けたからラッキーだった。そしてそこから音楽人生が狂いだした。

Summertime Blues (1969 Live at Woodstock)

The Whoには「ハードロック」という分類をするにはメロディアスで繊細すぎるところがあったし、Pete Townshendのギタープレイはあくまでもパワーコードプレイであって、日本人好みの早弾きなどなかった。考えてもごらん、Led ZeppelinやDeep Purple全盛の時代に「ジャカジャーン」だけで人気を得ることは並大抵ではなかっただろう。The Whoはあくまでも"The Who"というひとつの音楽ジャンルだったと考えるのが妥当だ。

それが1990年代後半になって状況が変化した。もともとThe Blue HeartsやらJun Sky Walker(s)、そしてUnicornといった連中がその影響を匂わせていたのだけど、OASISやthee michelle gun elephant、くるりあたりがThe Whoをリスペクトするアーチストとして公然と口に出したあたりから、リバイバルが起こったのだと思う(こののバンドたちがみんな早弾きよりもパワーコードプレイがメインだということに注目されたし=要するにギターの早弾きができないミュージシャンに人気があるというわけ)。そして21世紀からの「青春パンク」系の連中までもが、The Whoの支持を表明するようになった。

Won’t Get Fooled Again (1978 変態ドラマーKeith Moon生前最後のステージ)

現在、すべてのCDがデジタルリマスターで再発され、オリジナルアルバムは容易に入手できるようになった。"The Kids Are Alright"はフツーに近所のCDショップで特典映像つきDVDが入手できるようになり、高田馬場まで行ってレンタルする必要はなくなった。

そんなわけで、僕と同世代の連中よりも10歳~15歳年下の連中と話した方が、The Whoの話をできるという奇妙な現象が起きている。この現象の集大成が"The Rock Odyssey 2004″だった。The WhoのTシャツやグッズを持って歩いている連中が20代以下もしくは40代後半と、はっきり二極化していたのが、今でも強烈に印象に残っている。

かつての辛い経験があるだけに、今回も「城ホール」「横浜アリーナ」「埼玉スーパーアリーナ」「武道館」なんて巨大なハコで果たして埋まるのかどうか心配だ。いっぽうでRock Odysseyの「異様」とも思える盛り上がりも鮮明に記憶しているから、良いように期待したい。

Baba O’Riley (2001 Concert For N.Y.C)

2003年、18年ぶりにリーグ優勝をしたタイガースが2年後の2005年にも優勝してしまったことがあった。「優勝を3回見たら死ぬ」といわれていたタイガースだけに「本当に死ぬんじゃないか」と思ったことがある。

今はあの不思議な感覚と似たものを感じている。

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