SONY VAIO PCV-R71

上大岡的PC生活,管理人のたわごと

いま、スクール・ライブのハイビジョン版の動画編集に初挑戦している。
動画のエンコード中は特にすることもないので、こうやって記事を書くことにする。

僕が最初にPCで動画の編集をしようと思いたったのは1997年ごろのことだった。
動機は「親バカ」。前年に生まれた長女の映像をなんとか編集しようと思ったのだ。
ただ、当時の僕が持っていたMacintoshのPerforma 5270は安いだけが取り柄のダメPCだった。
とても動画編集をするだけのスペックを持っていないし、そもそもCD-ROMのドライブではCDすら焼くことはできなかった。

この時に初めてPCの自作をしてみようと思い買ったのが、この本だった。

(別冊宝島「いっきにわかる自作パソコン入門」)

そこには「パソコンを作ることは、それほど難しいことではない」「市場の半分の値段で制作できる」「カスタマイズしやすい」等々の甘い文句が書かれていた。
意味わからない人はスルーしてほしいんだけど、こんなことも書いてある。
OSに関しては「ウィンドウズ95の製品フルパッケージは、残念ながらフロッピーディスク版しか発売されていない」。
CPUに関しては「現時点(97年5月)で発売されているもので、最速なのはペンティアムⅡの266MHzだが...」。
時代を感じずにはいられない。

当時の僕は京都に住んでいた。唯一のパーツ・ショップが寺町にあった。
店名は覚えてない。だけどお店のオリジナルパソコン(今で言うBTOパソコン)の名前が「金閣寺」「銀閣寺」「清水寺」というネーミングだったのと、仏具屋の隣にあったのが印象に残っている。
休みの日になるとここに通って情報を収集した。その結果わかったことは「PCで動画の編集するなんて最高の贅沢だ」ということだった。
満足の行く動画編集マシンを作るのならば、パーツを集めるだけでも30万円はゆうにかかること、かと言って動くかどうかは全く未知数だということ、そういうことだった。

だったらメーカー製のPCの方が自分には安全だ。
そして家内を説得して購入したのがSONYのVAIO PCV-R71だった。忘れもしない2000年の1月のことだった。発売当初(1999年秋)には43万もしたPCを、ボーナス商戦の終了を狙って38万で買ったのだった。

PCV-R71は当時のメーカーパソコンでは最高峰に位置するマシンだった。単体で14万ぐらいはする動画編集ソフト「Adobe Premiere 5.1」もインストールされていた。自作するのとかわらない買い物だと、自分なりに解釈したのだ。
今からみると仕様は時代を感じるけど、OSはWindowsの98SE、CPUはPentiumⅢ 600MHz、メモリーは128MB、HDDは特別仕様の40GBだった。
これは当時のマシンとしては化け物レベルだったと思う。

この出費で我が家の家計が大きく傾いたのも事実だった。安い給与で妻子を養っている自分には、これは大きな冒険だった。
動画の編集もやってみた。何しろAdobe Premiere 5.1なんて、今でも使いこなせないソフトだ。四苦八苦しながら取り組んだ....
,,,,,結局、このPCで作ったのは長女と次女のそれぞれ生まれてから3年間を6分ほどで追いかけたショートムービー2本だけだった。
VIDEO-CDに収録するためのわずか6分の映像をエンコードするだけでも、5時間も6時間もかかったからだ。
当時の動画編集なんて、こんなモノだった。

だけど、この名機で多くのことを教わった。ホームページの作り方、音楽の編集とCDの焼き方、画像のデザインや加工の仕方、Office2000Oを搭載してEXCELやWORDも使いこなせるようになったし、あんまり関係ないかもしれないが、ダイヤル接続環境からCATVのケーブル・インターネットに加入したのもこの時からだった。
PCに関するありとあらゆることを、このVAIOで教わった。
この時に得た知識や技術が、今でも会社の様々な業務に活かされていることを考えたら、完全にモトはとれたと思う。

結局、このマシンは2006年4月に初の自作マシン「VU(ビュー)」を作るまで使用したけど、最後の頃にはメーカーの思惑とは裏腹にバンドルされていたソフトはほとんど消滅し、フリーソフトばかりで構成された軽量マシンとなっていた。
ただ、余計な常駐ソフトをすべて停止させてCPUの負荷を軽減させて使っていたのが幸いしたのだろうか?不思議なことに両親の家で今でも動いている。
お袋が「3Dさめがめ」で遊ぶためのゲーム用マシンとして現役だ。懐かしいWIN98SEの画面を今でも見ることができるのは、嬉しい。

現在、自宅用の自作PCとしては2代目となる「松平ケメ子」が活躍している。
ハイビジョン動画のエンコードを試してみたところ、1時間14分の動画を1時間ぐらいでエンコードしてくれるのだから、実に進化したものだ。
でも、1時間14分の動画を10分ぐらいでエンコードしてくれる時代も、そんな先のことではないはずだ。

そうそう、動画の編集の話のおまけ。
経営者って言うのは、最初は「何でも屋」で、やがて業務をスタッフに任せるとか、外注に回すとかして、次第に自分を楽にしなければいけないと思っている。
まあ、こんな小さな会社では「何でも屋」が妥当なところだけど....
そんな僕が、最後まで自分でやってみたい仕事のひとつが、ライブの撮影と動画の編集かもしれない。
PCの進化に敏感でいられることもあるし、多くの生徒さんや音楽を知って、その人や音楽にあった撮影と編集をする。
感性で行う仕事は、中々外注にはまわせないし、何よりも途轍もないコストがかかってしまう。

大変ではあるけど「何でも屋」の宿命なのだと思う。