珍品カセットテープ

管理人のたわごと

こんばんは、自宅の引っ越しで出てきた大量のカセットテープの処分に頭を抱えている管理人です。

今回の引っ越しではビデオテープはほぼ処分したんですが、こちらの方はほとんど手つかずのまま新居に持ってきてしまいました。
かなり貴重な音源が...あくまで自分基準ですが....入っているテープもあるわけで、捨てるに捨てられなかったのです。

ラッキーだったのはマランツのカセットデッキが奇跡的にまだ動いていたこと。
PCに接続してテープを入れてみたら、きちんとPC側で音を拾ってくれました。貴重な音源はいずれデジタル化してゆきますし、Youtubeにアップしておこうと思います。

さて、大量のテープをチェックしていて驚いたのは、わけのわからないマイナーブランドのテープが混ざっていることでした。TDK、SONY、Maxell、FUJI(AXIA)レベルならば使った人も多いでしょうけど、ずっこけるようなブランドがボロボロ出てきました。
カセットテープってよっぽど利益が出たんでしょうか?バブル期に至る時代は「何でもアリ」の百花繚乱の時代だったのでしょうね。

【三越 C-60】
三越 カセットテープ
百貨店の三越がカセットテープを販売していたというのは驚きですね。おなじみの丸越マークではなくライオンの紋章みたいなマークを入れているあたりが、ターゲットを若者にしてたってことなのでしょう?
1974~5年頃のものだと思います。と、いうのも僕はこのテープで小学校2~4年生の時に「侍ジャイアンツ」「サザエさん」「ルパン三世」などテレビ番組の主題歌を録音していた覚えがあるからです。当時は「ライン録音」なんて発想はなくて、テレビのスピーカーにテープレコーダーを近づけて録音していました。ですからギャラリーの声はまる聞こえなわけでして、お袋の声とか妹の声とか平気で入っていたはずです。その音源が残っていれば面白かったのでしょうけど、中学生の頃に「ビートルズ特集」というラジオ番組を録音して上書きしてしまいました。それはそれで貴重なんでしょうけど、いま考えると実にもったいないことをしたものです。
間違いなく我が家に現存するものでは一番古いカセットテープです。

【ハマヤ電気 ROYAL CASSETTE 60】
ハマヤ電気
今でこそ横浜南部でYAMAHAさんの音楽教室を経営する会社になってしまいましたが、「ハマヤ」といえば「レコード店」というのが僕の持っているイメージです。
何と独自ブランドのカセットテープも出していたんですね。
これは中学校1年生の夏に、港南台バーズの2階(?)にあった「ハマヤ」でテープレコーダーを買った際に、おまけでついてきたカセットテープです。
僕はこういう外側のインデックスカードをあまり残さないタイプなのですが、これは奇跡的に残っていました。
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「このテープは片面30分、両面60分の録音ができます。また、全てのカセットレコーダーに使用できますが、ポジションセレクタのあるレコーダーでは、ノーマル(NOMAL)ポジションでご使用下さい」って書いてありました。

【RSCコーポレ-ション RSC CASSETTE 60】
REC Corporation
これは見てのとおりハマヤのカセットとパッケージがほとんど一緒。
35年後の今日に至るまで「別物」とは気付かなかったなぁ~。
RSCという会社からハマヤがOEMを受けていたのか?はたまた....

【富士電気化学 Fuji Ferrotape】
富士電気化学カセットテープ
これはあの「AXIA」ブランドで有名な「富士フィルム」のカセットテープではありません。
富士電機化学株式会社という会社が出していたモノでして、「Novel」というのがブランドだった模様です。

インデックスカードに姉貴がエリック・カルメンやロッド・スチュワートを収録していることから、1970年代末期のものと思われます。
後年、富士フィルムが斉藤由貴や浅香唯を起用して「AXIA」ブランドで大攻勢をかけてきた時まで存続していたのかどうかは知りません。

【日本生活協同組合連合会 C-60】
生協カセットテープ
(映画「八甲田山」芥川也寸志作曲)
独自ブランドといえば生協のお家芸。
このカセットは、中学校3年生の時(1980年)に友人のK君からもらったもの。
カセットテープ本体も渋いけど、収録曲も渋い!
もひとつおまけに、この曲は今でも僕のiPodに入っているのだから進歩がない!

【ノーブランド? Model-Ⅱ】
ノーブランド
たしか高校1年生の頃だったと思いますが、立ち寄った市川市本八幡の西友で「カセットテープつかみどり 一回1000円」というのをやっていました。
片手でカセットテープをつかめるだけどうぞというヤツ。まったく当時の市川というのは不思議なトコロだったけど、それに挑戦した僕も僕でした。
僕の手の大きさで「つかめる」カセットテープはせいぜい9本だったようですが(いま確認してみた)、なにしろ生意気盛りの高校生のやること。僕は15本ぐらい片手で積み重ね、それを片手で持ちあげて「おじさん、これでもいい?」と尋ねました。
そうしたら店員のおじさんが「うーん、そりゃあ反則だけど、兄ちゃんこれだけ持ってけ!」とテープを12~3本サービスしてくれました。
当時はカセットテープが1本200円以上はした時代だったから、得をした気持ちで意気揚々を帰りました。

でも、このテープの音質が最悪だと気付くのに、そんなに時間はかかりませんでした(笑)
せいぜいAMラジオの録音が関の山で、FMでは満足な音質が得られない状態のシロモノだったのです。

まあ、そのおかげで現存するテープには貴重なラジオ音源があれこれ収録されているのも事実。歴史的には「いい買い物」だったのかもしれません。
この「寺山修司」と書かれたカセットには彼の脚本による「コメット・イケヤ」というラジオドラマが収録されています。「コメット・イケヤ」は1966年にイタリア賞ラジオドラマ部門でグランプリを受賞した作品でして、1980年代にNHKFMでオンエア(再放送)した際に録音したものです。
この「コメットイケヤ」ですが、1993年にCD化されたものが廃盤になってからは一度もCD化されていないため、現在では幻の作品となっています。全盲の少女が主人公ということで放送禁止のセリフがあることが理由なのかもしれません。この93年版CDには2万円というプレミアがついています。

【LOVE PSYCHEDELICO – Last Smile】
Love Psychedelico
最後は...ブランドでもメーカでもありませんが、プロモーション用のカセットです。
この「Last Smile」がリリースされた2000年当時は、カセットテープが記録媒体としてまだまだ現役の時代でした。
いっぽうメディアではすでにCDが当たり前の時代でしたが、演歌も含めた歌謡曲の世界では相変わらずカセットテープが9割以上のシェアを保っていました。
5~6年ほど前ですが、まつざき幸介さんにご自分の曲におけるカセットのシェアについて尋ねてみたところ「7割はカセットですよ」とおっしゃってました。そんなまつざきさんも「鎌倉残照(アコーステイックver.)」以降はカセットのリリースをやめてしまいました。
そういう僕も1年ほど前に、70歳になる知人から貴重な美空ひばりの音源(保存状態のよいSP盤からのダイレクト録音)をカセットテープで頂いたことがあります。会社にしか再生する環境がなかったのですが、ようやくこれもデジタル化できます。

そして現在、音楽メディアとしてのカセットテープがどうなっているのかを調べてみました。
日本レコード協会によれば、2012年度の実績は生産金額ベースだけをみるとカセットテープは2000年当時の7分の1まで落ちています。
ところが驚いたことに、2012年度にリリースされた新譜タイトル数では、歌謡曲CDが7429タイトルなのに対して、カセットは7989タイトルなんです。「カセットテープ、恐るべし」ですね。

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