BA-330×2 -ヌッキー@リュウ&カカ王 Street Live at 上大岡駅西口-

ライブレポ

「そこに道があって、そこに楽器があれば、そこから音楽は生まれる」。
なんてことを思う。
「楽器」の部分は時には「マイク」になったり「ギター」や「洗濯板」になったりする。
ルイ・アームストロングは子供の頃、ニューオリンズの路上で相棒が洗濯板をかき鳴らすリズムに乗って、コルネットを吹きながらジャズのプリミティヴな形を生み出していった。リヴァプールの路上で若き日のジョン・レノンは金だらいに弦を張ったおかしなベースのリズムに乗って「ロック・アイランド・ライン」をギターでかき鳴らしていた。

さて、まっ昼間からいい年こいたオッサン3人が、上大岡の街中でアヤシゲなモノをえっちらほっちら運んでいる。

アヤシゲなモノとはRolandポータブルPAのBA-330。
乾電池単3が8本で8時間もプレイできてしまうというスグレモノのポータブルPAだ。2台で総重量は27.6kgになる。
今日は天気もよくて暖かいぐらいで、絶好のストリート・ライブ日和だ。その重い機材を運ぶだけで、額が汗ばむ。

そう、カカ王さんとヌッキー@リュウちゃんとで、上大岡駅前でストリート・ライブを行うというわけだ(キタさんは生憎の仕事で欠席)。難航(笑)した「道路使用許可証」もとっているぞ、と。あとは歌うだけだぞ、と。

えっちらほっちら駅前に行くと、ハタと困った。
土曜日の歩道駐輪がこれほど物凄いとは思わなかった。歩道を人間が通れないぐらい占拠している。そんなわけでまず駅前の駐輪自転車をきれいに整理して、表現のスペースを確保することにした。せっかく場所をお借りしたのだから、このぐらいはやらなきゃだ。

自転車の整理ならまかせておけ。CD店長時代には仕事のひとつだった。京都のお店っていうのは間口が狭いため、お客さんがとめる自転車でたちまちお店の入口が入れなくなってしまうのだ。アルバイトが女の子の日は、自転車整理は僕がやるしかなかった。将来会社が自転車操業になって不景気のサイクルが直撃したら、駐輪自転車の整理員で食ってゆけるかなと思いながら駅前の自転車を片付ける。見事なスペースができた。おーなんという美しい駐輪自転車の波!

さっきから書いていて「全然"気軽"じゃねーじゃーねーか」と思う。汗ばっかりかいているじゃねーかと思う。
まあいいじゃないか、汗をかいた後のビールが美味しいのと一緒だ(飲めないけど)。

マサトシさんがわざわざ応援に駆けつけてくれたのは嬉しかった。そしてレッスン帰りや近場のカラオケに集っていたミューボ軍団も入れ替わり立ち代り応援しにきてくれた。こういうのが何よりだ。

そういうわけで、まずはカカ王さん。
僕はてっきりストリートの経験は少ないと思っていたけど、実はカカ王さんは大阪城公園でストリートをやっていたらしい。
というわけで一部は「さだまさし」、三部は「ゆず」をカバー。
カカ王さん、何かがフッ切れたようなベストのステージだった。あとで「何だか解脱しましたね~」と僕が言うと「解脱ですか、そうかなぁ~」とカカ王さん。

BA-330もよく鳴っている。
ステージ中にリュウちゃんが「改札口あたりから聞いてもいい音している」というので確認したけど、ポータブルPAとは思えないキメ細やかないい音が響いていた。

ちなみに「さだ」に関して「家で聞くとカミさんが嫌がるんですよ」とカカ王さん。どっかで聞いたことあるセリフだと思ったら、リュウちゃんも同じことをナガブチで言われていたなぁ。その奥様も応援に駆けつけているところでリュウちゃんのステージだ。

最初からナガブチ一本で飛ばす、飛ばす。プレイの途中でBA-330の音がバリバリ言い出したため「さてはバッテリーの低下か?」と思ったのだけど、実はリュウちゃんのギターのピックアップの不調だった。リュウちゃんは平然と熱く歌い続け、お客さんもその熱気にひきこまれて立ち去らずに見てくれていた。この人は凄いなと思った。

(携帯で撮影する子供と)

1部と3部カカ王さん、2部と4部リュウちゃんという構成で正味2時間は行ったと思う。何よりも気軽で気楽ないいステージだった。

そもそもことの起こりは、去年の御茶ノ水ツアーだった。リュウちゃんの顔なじみの下倉楽器のK田さんのところへ寄った際、リュウちゃんが「なんかお勧めのモノある?」と尋ねたのが今思えば運の尽きだった。K田さんが持ってきたチラシには「近日発売予定」としてこのBA-330があった。この瞬間からリュウちゃんも僕もこのスグレモノのマシンを購入する運命にあったのだと思う。
そうなれば、ストリートをやるしかないという運命は当然だった。

次回は3月予定だけど、下手すれば明日かもしれない。

ライブレポ