緒形拳
たまたま先々週ぐらいの話。
突然思い出したかのように、
「砂の器(1974)」のDVDをカミさんと見ていた。
どの役者も素晴らしいのだけど、とりわけ巡査役の緒形拳と、旅する親子の父役だった加藤嘉の演技が物凄かった。いや凄いなんてものじゃなくて、あれはもはや演技を超えていた。
老いた緒形拳が「どげんして、自分の父に会おうとせんのじゃ!」と説得するシーンが、この映画のクライマックス。あそこは何度見ても胸に熱いモノがこみ上げてくる。画面一杯にこちらを向いて語りかける彼の表情が、あまりにも真剣で、切実で、怒りがこもっていて、直球で心に迫ってきたからだ。初めてこの映画を見た30年も昔から、この感覚はかわっていない。
この人の演技といえば、他には「八甲田山(1977)」の村山伍長、「鬼畜(1978)」のどうしようもない父親なんかが印象に残っている。優しさと厳しさ、強さと脆さ、両方を使い分けられる役者だった。
いっぽうでニコっと笑った時の笑顔の、人懐っこい感じもよかった。
ドラえもんが大好きだったとも聞く。
印象に残った緒形拳の映画が、ほとんど1970年代の作品である理由が、自分でもよくわからない。
最後の出演映画が「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」のぬらりひょん役だった、
というあたりにその答があるのかもしれない。
連続ドラマ『風のガーデン』全て撮影が終了しました。本日、記者会見です。
10月9日(木)夜10時スタート、フジテレビ。
是非是非 ご覧下さい。(2008.9.30)
これがこの人の生前最後のBlogとなった。
ディスカッション
コメント一覧
僕にとっては、中学生の頃に見た「太閤記」が初対面だったと思います。最終回の老いさらばえた姿は今も印象に残っています。
ちょうど大河ドラマ「太平記」の完全版を入手し見始めたところだったので、訃報を聞いてびっくりでしたよ・・・。足利尊氏の父役の抑えた渋い演技が印象に残ります。明日から開始の「風のガーデン」、じっくり見てしまいそうだ。
>あきなべさん
それ、どうも僕が生まれた年の作品のようですね。
30年も前の話ですが、友人の家でNHK製作のドキュメンタリービデオ「大河ドラマの15年」を見たことがあり、そこで貴重な映像(もしかして今は現存しないのでは)を見た記憶があります。ゲストで石坂浩二と緒形拳が出ていました。
>羊子
明日は録画するしかないでしょうね。
上のあきなべさんへのコメントも気になるところでしょ(笑)。
ところで、先週放送博物館行ったら、主題歌集のDVDが出ていたよ。よっぽど買おうかと思った。
途中からですが「風のガーデン」見ました。
ドラマの設定にも何か縁のようなものを感じてしまいました。
毎週見逃せないかもです。
>hitomi
録画してけど、まだ見れてなーい。
いつ見れるかな~。