MH ORGANic Trio at 沼袋Organ Jazz倶楽部
「お前なんか破門だ!オルガンでも弾いてろ! ハモンドオルガン」。
先代林家三平師匠のネタだ。
これを聞くと昔(1970年代)は「ハモンドオルガン」という楽器が極めてポピュラーな存在...満員の寄席を沸かすレベル...だったことがわかる。
多分…この楽器を日本で有名にしたのは、プロコル・ハルムの「青い影」の印象的なイントロじゃないだろうか。
(Procol Harum – A Whiter Shade Of Pale -1967)
あるいは日本でもいち早くハモンドオルガンをバンドサウンドに導入したザ・スパイダースの大野克夫だったかもしれない。共に1967年の出来事だから、なんとも言えない。ちなみに僕が好きなハモンドオルガンのプレイヤーはずばりジョージイ・フェイム。
さてこんな事を書きつつも、今まで「ハモンド・オルガン」の実物を見たことも、生演奏を聞いたこともなかった。
そうしたらいつもお世話になっている世界的ドラマーの佐藤"ステディ"徹さんと、同じく世界的ギタリストの平野雅己君が、これまた世界的ハモンドオルガン奏者の苅部真由さんとトリオでライブをやるのだという。
迷わず「行きます!」とお伝えしたのは言うまでもない。
場所は沼袋Organ Jazz倶楽部。沼袋って西武新宿線の沼袋だ。
この場所も生まれて初めて訪れたけど、思い出すのは北野武が結婚披露宴祝辞で読み上げたギャグだ。
「世の中には女房として守らなければならない3つの袋があります。最初の袋は池袋、次いで沼袋、最後は玉袋」というやつ。
実はこれ、当代林家三平の結婚披露宴で読まれたもの。なんだかよくわからないけど「ハモンドオルガン」「沼袋」「林家三平」は深く関わっているわけだ。
お店に入ってハモンドオルガンの実物を見た。
B-3というタイプなんだけど、想像していた以上に筐体がデカいのと、ヴィンテージ感溢れる品の良さに魅了された。
そして背後にはこれ。
これがレスリースピーカーってヤツかぁ。本当にスピーカーがくるくる回転しているぞ、と。
本当はセンターに陣取って聞くのが一番バランスが良いのだけろうけど、たまたまドラムスの真横の席が空いていた。長いお付き合いだけど、こんな近くで徹さんのドラムプレイをガン見する機会なんて滅多にないので、あえてそこに陣取った。
20時すぎ、演奏開始!
うひゃあ、生ハモンドかっこええ~。
これだよこれジョージイ・フェイムがヴァン・モリソンのバックとかで鳴らしている音とおんなじだ。
苅部さんのプレイは「静かに熱い」感じ。アンサンブルではクールにからんでくるけど、ソロになると徐々に高調まで昇ってゆく。
平野君はGibsonのSAで透明感のある音を弾き出す。何とも器用なギタリストでブルースでもジャズでもファンクでもいい感じにちゃいちゃいとサバいてゆく。
徹さんは本当に正確で縦横無尽、苅部さんがこう出てくれば瞬時にこう引く、平野君がリフのスタイルを変えれば臨機応変に叩くスタイルを変化させる、そして音の隙間を見つけるとガーッとフィルインを送り込む。もうその駆け引きが眼前で見れるっていうのは素晴らしい。
ハモンドオルガンはそういう音を全て包み込むラッピングペーパーのような所があって、普通に聞けばクールに終始するJazzサウンドでも、それをソウルフル…都会的でキャッチーなものに変えているように感じた。
セトリは全部は覚えていないけど、記憶にある所ではこんな感じ。
Miles Davis – All Blues
Robben Ford – Me And My Woman
Jaco Pastorius – Three Views of a Secret
平野雅己オリジナル – Slightly Wetともう1曲
Miles Davis – Milestones
Miles Davis – So-What
Duke Ellington – In a Sentimental Mood
Freddie King – Same Old Blues
そうそう、珍しい平野君の珍しいブルース・ボーカルも堪能した。
「ボーカル教室のオーナーの前で歌うなんで緊張する」なんてMCで言ってましたが、彼の何とも優しい人柄がよくボーカルに出ていた。
さてさて…..子供的な欲望そのままに言えば「ハモンドオルガン欲しいっ!」とマジ思ったけど、どうもこのB-3スタイルあたりになるとレスリースピーカーもセットで200万近くしますよというのが、今回のオチだ。
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