Shanling M3Xを買った話

たしかにサブスクの誕生によって、音楽を聞く環境は格段と便利になりました。僕もSpotifyを使っています。
しかしながらSpotifyでは絶対に聞けないような音楽はいくらでもあるし、それが楽しめない環境だってあります。

もし、屋久島の密林で木の実ナナの『ジュディー・ジュディー』を聞きたくなった時どうするか?
もし、安房峠の「峠の茶屋」跡で四代目三遊亭圓遊師匠の『不動坊火焔』を聞きたくなった時どうするか?
もし、釧路湿原でTony Hatch Orchestraの『Groovy Gear』を聞きたくなった時どうするか?
『7000万曲聞き放題』である事は、『北斗の拳』に描かれた「暴力が支配する時代」と同じぐらい不毛なのです。

そんなわけで「いい」と思った音源はCDを買うかダウンロード購入するかして、データで持ち歩かないと納得できない自分がいます。
問題はデータ化した音源をどう持ち歩くか?でした。

昨年10月の事です。永年使用してきたiPod Classicに見切りをつけ、"Shanling M3X“を秋葉原で買いました。Android OSで動く中国製の音楽プレイヤー(DAP)です。本体は32G。最大2TBのmicroSD(現時点ではこの世にあるmicroSDは1TBが上限)まで対応可能で、再生可能な曲数の上限もありません。

Shanling M3X – 昭和仕様にしています。


ご存じの通りジョブズ亡きあとのAppleはサブスクの囲い込みにご執心となり、iPod Classicも生産中止となりました。大容量DAPなど期待薄です。そして日本のDAPは高価格化とガラパゴス化が続いています。そんな中で中国製DAPがどんどん熱くなっているのです。ハードウェアの音質も極めて良くなっており、とりわけこの2年程で加速度的に大容量化が進みました。気持ちは複雑ですがiPhoneが登場した頃を見るような想いがします。

今までiPod Classicを256Gに改造して3台を持ち歩いていましたが、ようやくその生活から離れる時がきました。
1TBのmicroSDに17万曲を入れ、持ち歩ける時代となったのです。現存『最古の音』から新曲までオールインワンで聞けるのが嬉しいです。

黒=ジャズ・クラシック 青=洋楽・邦楽の名盤 緑=ニッポノホン=名曲&歴史的音源アーカイブ。

肝心の音楽プレイヤーアプリの話も書いておきます。いくつか試してみて"Neutron Music Player有料版"が軽快に動く上に音質もダントツなのでイチオシです。ただし設定が難しく(慣れが必要)、Chromecastをしてもテレビには「Default Media Receiver」と表示されるのみで、カーバーアートや曲名がテレビに表示できないという難点があります。

Neutron Music Playerを使用中。大好きな四代目三遊亭圓遊師匠がいつでも聞けるようになりました。

それほど曲数が多くない方なら"Poweramp有料版“の方がバランスは良いと思います。メニューもわかりやすいです。しかし、17万曲だと動作が重く、検索を使うとほぼフリーズします。Bluetoothのヘッドホンと接続時、ブツブツ音が途切れます(プレイヤーの再起動が必要)。なぜかChromecastをしていると30分ぐらいて音が途切れてしまいます。僕はプライベートでは前者、職場では後者を使っています。

Shanling M3X 背面

「もしジョブズが生きていたら..」と、しみじみ思います。彼が愛したiPod Classicは名機でした、おそらく彼なら1TBのiPodをリリースしていた事でしょう。理由は「自分が持ち歩きたいから」です。