卒業記念DVD製作記

管理人のたわごと

またまた娘の卒業にまつわる話。

この小学校では毎年「卒業を祝う会」有志のお母さんたちで、卒業記念のCD-Rを作ってきていた。卒業する子どもたちの幼い頃の画像と最近の画像とをPowerPointのスライドショーで閲覧する。そこに「将来の夢」が書いてあったり、親御さんからのメッセージがあったりした。

今年、そのスライドショーの作成をカミさんが作ることになったのだけど、もともとPowerPointなんて使ったことのない彼女、四苦八苦しながらやっているのを見るにみかねて、
「いっそ動画ソフトで編集してDVDにしてしまった方が簡単に見れていいんじゃないか?」
と言ったのが運の尽きだった。

気がついたら、Video Studioで動画編集をしている自分がそこにいた。
典型的な「巻き込まれワーク」となった。

そこで有志のお母さま方に手伝ってもらい、先生方から卒業生へのメッセージを、ビデオカメラで撮影してもらう。これでショートムービーを一本製作。エンディングロール字幕では卒業生全員の名前が出るようにした。卒業生84名の名前はカミさんに入力させた。

これのパイロット版映像を何とか作り上げて、3月8日の「卒業を祝う会」の会議の席上で上映したところ、出席していたお母さんたちがボロボロ泣き始めた。
「こうなったら子どもたちも泣かせるぐらいのいいDVDを作ろう」と俄然やる気になった。
いっぽうで、物凄いプレッシャーも感じた。見ず知らずの子供さんも親御さんも多い中で、想い出に残るものを作らなければいけない。LIVEのDVDを製作してきた経験を最大限に発揮するしかないと思った。

ただ体力が続かない(泣)。ちょうど仕事が忙しい時期だったこともあり、この帰宅後に完全にひっくり返ってしまった。2日間休んで体力を温存させた。

翌週からポツポツと卒業する84人の子供たちの小さい頃の写真や、有志のお母さんが学校でデジカメ撮影してくれた「子供たちの今の画像」が集まってきた。仕事から帰宅してから編集をする日々が続いた。写真はすべてカミさんがスキャナでデジタル化してくれた。この修正やトリミングを行ったうえで「今の画像」とを慎重に並べ、「将来の夢」を字幕で入れてショート・ムービーにした。これをクラス別に3本製作した。タイトルは"84の夢"。

その過程でこの子たちの1年生の頃(2003年)の画像や映像を織り込んで、一本ショートムービーを作ってみようと考えた。入学式、運動会、学芸会、当時の学校の風景....親が一番気合を入れて子供たちを撮影していた頃だ。
ただ僕がDVCやデジカメで撮影した映像と画像には、娘のクラス分の子供たちしか写っていない。なるべく卒業生の多くが映像に残るように、他のお母さんがたからも色々な素材をお借りして完成させた。思い入れのある一本となった。

こんなことを思った。この子たちは入学から卒業までがデジタル素材で残っている。
あと数年もすれば、生まれてから卒業まですべてデジタルで撮影されている子供たちの世代になるのだろう。

さらにカミさんが教室、校舎、校庭の風景を撮影してきてくれた。人気のない雰囲気が出ているのと、「どうでもいいもの」が沢山写っていることから、いい素材だと思った。「どうでもいいもの」が逆に想い出に残るからだ。これで一本ムービーを作成する。子供たちが去ってしまった後の余韻みたいなものを出せたと思う。

そんな風にして8本のショート・ムービーからなる40分程度の映像作品を完成させた。

3月19日の卒業式の後、子供たちと親御さんが一同に会しての「卒業を祝う会」の席上で、これが上映された。司会は娘の同級生にお子さんのいるとーるさん。このコンビ、教室やイマージュやPocopensだけではなく、こんな場所にも登場している、というわけ。

ハラハラしながら見ていたのだけど、子供たちの反応はとてもよかった。6年前に撮影した改装される前の音楽室や図書室の画像、当時は生きていた飼育小屋のニワトリの画像などにも、いちいち驚いたり歓声をあげてくれるのが嬉しかった。途中に字幕を入れると、それを声をあげて読む。子供たちの感性はこっちが思っている以上に、素直で繊細で鋭いんだな、と思った。

そして上映終了後、大勢の子供たち、大勢のお母さまたちが泣いていたのだった。
この2週間の無償の苦労が報われた瞬間だった。

子供たちは振り返らない。
未来を見つめている。
いま、この回顧的なDVDをもっぱら見ているのは親御さんの方だと思う。
子供たちがこれをひもとくのは10年後、20年後かもしれない。
その頃に意味のある作品が作れたと思うし、
そういう作品が作れてよかったと思っている。

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