娘とTHEATRE BROOKのライブに行った話

ライブレポ

13才になる娘に一度「しあたーぶるっく」のライブを見せようと思った。
最初は聞いたことのないアーチストのライブにオヤジと行くのを嫌がっていたが、「くるり」のサポートをやっていたドラマーのいるバンドだよ"というツカミが功を奏したようだ。
「とにかく演奏力が滅茶苦茶あるバンドだから、そういうところ見たらいいよ」と言いながら車に乗った。

リキッドのある恵比寿に行く前にタワレコの新宿に行かなければならなかった。というのも倉橋ヨエコの2年前のラストライブのDVDが発売されたからだ。しかも新宿店ではヨエコが着ていたウェディングドレスが展示されているという。娘はそれも見たいというのだ。

ところが首都高速は事故渋滞。
らちが明かないので芝浦で降りて下の道を走る、走る。
新宿に到着したのとき、すでに時計は16時を過ぎていた。リキッドの開演時間まで1時間を切っている。
「タワレコの場所はあのビル。もう駐車する時間がないから買ってきて」
「うんわかった」と車から飛び降りた娘は、雨降る新宿の雑踏の中へと消えていった。

娘が「買ったよ!」といって戻ってきたのはそれから15分後。
早速デロリアン並みの加速で車を発進させ、明治通りを節度ある爆走で進みながら尋ねる。
「お店の人に聞いたの?」
「うん。そうそう、前に並んでいた人、フジファブの"MUSIC"を買っていたよ」と娘。
娘が携帯で撮影したヨエコのウェディングドレスの画像も見せてもらった。
「それって撮影してよかったの?」
「あかんかったの?」と娘。
明治通りは意外と空いていた。リキッドに入ったのは16時45分だった。

ここに来るまでの車中で、僕はシアターのライブ定番曲を流しながら、メンバーの説明をしていた。
ギターの佐藤タイジは大きな口でインパクトのある顔。アコーステイックギターのサウンドホールをビニールテープで塞いで、そこにエフェクターをかませて、すごいギターのシャカシャカプレイをする人だ、ということ。
ドラムの沼澤尚は世界的なドラマーで、"くるり"以外にも大塚愛、椎名林檎、民生ちゃんなんかのサポートをやっている、ニコニコしながら1時間でも2時間でも叩ける人だ、ということ。
ベースの中條卓は「静かなる大岩」という感じで、黙々と流れるような音を奏でる人だ、何だかThe WhoのJohnとキャラがかぶる人だ、ということ。
そしてキーボードのエマーソン北村はいつもおかしな帽子を被っている人だ、ということ。

それともうひとつの「つかみ」は新曲「裏切りの夕焼け」がアニメ「デュラララ!!」の主題歌だったということ。僕はこのアニメは見たことがないのだけど、子供にとっては結構いい「つかみ」だったようだ。
「そのアニメならば、●●ちゃん(娘の友人)が好きなアニメや」。

ライブレポはマサトシさんがいいのを書いてくれるから省略。

それから5時間後、帰りの車中の話。
僕「どうやった?」
娘「むちゃくちゃ演奏凄いわ」
僕「そうやろ、いつも聞いているのとまた違うやろ?どのヘンが凄かった」
娘「とにかくドラムが凄い。ドーンが凄かったなぁ」
僕「うんわかる、あの人のドーンは凄いよね。あとはどんなとこが良かった?」
娘「ドラムとベースがやたら大きいから、キーボードが一生懸命にボーカルの人と組んで戦っていた、って感じ」
僕「なるほど、あれは戦いなんだ。そうかそうか。お父さんはね、今回はエマーソンのキーボードを中心に聞こうと思って、ずっと耳を傾けていたんだけど、空からドラムとベースの音が雷みたいに落ちてくるのを、エマーソンのキーボードで受け止めているっていう印象を受けたな。あの人は派手なプレイは見せないけど、がっしりとしているよね。他には?」
娘「お父さんが"このバンドはCDでは5分ぐらいの曲を15分ぐらいかけてプレイする"って言うてたでしょ。あれってキーボードの音がバリエーションあるからできたんだと思う」。
僕「なるほどね。結構要所要所でキーボードが支えていたね」
娘「それとね」
僕「何?」
娘「ベースの人が"二十世紀少年"のオッチョに似てたなぁ。着ている服も似てた」
僕「そうなんだ、それは気づかなかったなぁ」
娘「明日ね、●●ちゃんに言うてみるわ、"デュラララ!!"の主題歌歌っているバンドのライブ見てきたって。えーとシアター・ブラックだっけ?」
僕「ブルック!」

考えてみれば二人でライブへ行くのはこれが始めてだったし、サウンドについて話するというのも始めてだったと思う。

会場でマサトシさん(どんだけ体力あるんだよ、というぐらい踊りまくっていました)が「今日の最年少じゃない?」と笑っていたけど、本当にそうだったかもしれない。

ライブレポ