東日本大震災救援ライブ~東京音力~ at ひまわりの郷

ライブレポ

「東京音力」のきっかけって何だったんだろう?

4月10日の"Spring Heart for Japan 2011″の前夜の話。
Emiセンセから「明日のライブですがCブロックの途中のカラオケからバンド演奏に転換するところなんですが、私のMCで間が埋まらなかったらどうしましょう」と言われたことだったと思う。

「んじゃ、俺が適当にフォローに入るよ」と答えた。

その瞬間に頭の中に「明日のアコ出演者で、斉藤和義の"全部ウソだった"をやったらいいんじゃないか?」と降りてきた。
ちょうど彼がアノ動画をYoutubeにUPしたのが4月6日のこと。4月10日ならば生々しい「今」だ。

その場でコード譜を作り上げた。

謎の音楽集団の出演はスタッフにも一切ナイショの「想定外」にしよう、しかも電気の力に頼らない「ナマオト」でプレイしよう。そんなことも頭の中に降りてきた。それじゃあ集団の名前は?というところで「東京腕力」か「東京音力」かで悩んだ。この日は「電気の力に頼らない音楽集団」ということで「東京腕力」を採用。僕、リュウちゃん、喉、KAKEL、明子さんの5名による即興でのステージとなった。
でも「東京音力」も捨てがたいよな、この放送コードに引っかかりそうなネーミングをどっかで使いたいよな....

(開場30分前 PA調整中)
実はこの日が出発点となったイベントがもうひとつある。
“Spring Heart for Japan 2011″ハーサルの最中に、演歌歌手のまつざき幸介さんから電話があった。
「僕たちでも震災に際して何かイベントを行いたいのですが、いいアイデアありませんか?」。
ちょうど僕自身も「ミューポ主催の救援イベントはこれで終わる。このライブが終わったら、上大岡ミュージックジャム主催でも音楽イベントを何かできないだろうか?」と思っていた。まつざきさんもミュージックジャムのメンバーだから、電話しようと思っていたところだった。

そういうことが一気に結びついた。

「近いうちに、ミュージックジャム主催で弾き語りイベントと、誰でもオープンに参加できるカラオケイベントを別々に行う。場所はできれば(会場代が安いから収益が寄付金に反映されやすい)港南区民文化センター"ひまわりの郷"がいい」と頭に降りてきた。

そして"Spring Heart for Japan 2011″の翌日、市民予約システムで空き状況を調べた。
奇跡的に5月22日、5月30日が空きになっていた。「できる」と思った。代表のヌッキー竜ちゃんと相談し、翌々日には港南区民文化センターに赴き、二つの音楽イベント「東京音力」(5月22日)、「ひまカラ」(5月30日)の大枠を決定した。

(開演5分前。「栞」のくりっちとしぃさん at 受付)

そして一昨日5月22日、ひまわりの郷で「東日本大震災救援ライブ~東京音力~」が開催された。
おかげで会場は満員!そんな中でステージは始まった。

Rika

トップバッターは彼女。4月24日には渋谷多作にも出演している彼女。ピュアで新鮮な歌声とオリジナル曲。
彼女のステージを見るのこれが始めて。曲を作り始めたことも、ギター弾き始めたのも近年だというのが信じられない。時折「ジャカジャーン」というPete Townshendっぽいギターリフ(多分そのつもりはないだろうけど)と、「そうくるか」という斬新なコード進行、それでいて心温まるオリジナル曲の数々。すでにできあがっている音楽世界に驚いた。きっと彼女の中にはずっと以前から音楽がすでにできあがっていて。それがここ1年で一気に放出してきたんじゃないか?そんな印象を受けた。
彼女をトップに持ってきたのは大正解だった。

KAKEL

お次はKAKEL。見た感じロックミュージシャンの彼。フォーキーな「天満川」と、関内7thでみたPERSONAのバンドライブのでのラルクやGLAYのようなバンドサウンドという両方の顔を持つ彼。力強い激しさと叙情性という両方を兼ねそろえた熱いステージをみせてくれた。
この翌日には再び関内7thにPERSONAとして出演、忙しいやっちゃな~。

友希

R&Bテイスト溢れるブルージーなボーカルでのピアノ弾き語り。お客さんが「いい声ね~」とささやくのが聞こえてきた。MCも落ち着いているし、オリジナル曲も彼女にしかできないオリジナリティがとても出ている。「成長したな」と思った。

そんな彼女、今回は喉とのユニット「ラージク」でも出演。面白い組み合わせ!



2日前には日吉NAPの50mmライブで過去でも「ベスト」なライブをしたばかりの喉。そんな勢いで今日もダークサイドのオルタナティブなフォークをぶち撒けてくれた。彼の世界に引きずり込む力は見事。公共施設にもかかわらず「東京音力」という乱暴なイベントタイトルでよくコードに引っかからなかったと思っていたし(ちなみに本イベントを紹介してくださったタウンニュースでもこのイベントタイトルは使用されていない模様)。よく考えたらこのタイトルは一番彼の音楽性にマッチしていたように思う。



先月22日に武蔵小山でライブしたばかり。ハートフルで温かみのかわいらしさ、そしておもちゃ箱をひっくり返したように様々な切り口を持っているデュオの登場。客層にあわせたそうで、「景色(ソライロ)」以外は前回と全く異なるセットリストでのステージだったのも、会場にあわせて赤い鳥の「翼を下さい」で締めくくったあたり、さすがだと思った。「羅針盤」は生でみるのは多分はじめて。今回はくりっちがPA、しいさんと受付を担当して頂いたけど、お疲れ様でした!

ヌッキー竜

最後を締めるのはやはりこの人。そしてレパートリーもやはりナガブチ。5月7日には関内音小屋に出演したばかり。豊富なライブ経験とその実力で、お客さんを一気にエンディングまで連れ去る力が素晴らしかった。この日は総合司会でも大活躍のリュウちゃんだった。「鶴になった父ちゃん」をナガブチ本人のようにベタにならずに、初期ナガブチの雰囲気のまま歌えるのがいいなと思った。

そんな風にして、あっという間の3時間だった。
お客さんからの反応もとてもよく「出演者がどれもよくて、飽きないイベントでした」と言われたのが何よりだった。
そう、ライブの経験があり、かつ多様性のある出演者たち。企画者冥利に尽きるイベントにすることができた。

この後、リュウちゃん、喉、友希ちゃん、KAKELとCamio「ぶっちぎり」に飲みに行ったんだけど、もうみんなご機嫌。僕もコーラをガバガバ飲みまくる。
最初は今日のライブや音楽の話題だったのだけど、たまたま同日にNHKで再放送された「江夏の21球」をきっかけにヘヴィなカープファンのKAKELが「俺、今日帰りたくないです!」。「それじゃあ居ろ!送ったる!」と僕が言い。野球に関しては一番ヘヴィなリュウちゃんもご機嫌でエスカレートしていった。
まさか松竹ロビンス須田博州崎球場ネタでKAKELと話題が通じるとは思わなかった。挙句の果てにはリュウちゃんが「今日は最高!もうみんな俺のおごりだぁ!」とか言って、全部払おうとする始末(本人はもう覚えていない模様)でしたとさ。

ライブレポ