武山「三平」唐揚げ陸送大作戦

管理人のたわごと

マサトシさんに教えて頂いて以来、ハマっている鶏の唐揚げがある。
横須賀の陸上自衛隊武山駐屯地の真ん前にある「三平」のそれだ。
中はジューシー、衣はクリスピー、味はあっさり、鶏肉はホックホク。
何ヶ月に一回かは食べに行っている。
正面に自衛隊の駐屯地があるだけに、お客さんは自衛隊の人も多いのかもしれないけど、ついぞ制服姿は見たことがない。

住所は「横須賀市林2-9-19」。
場所は林ロータリーの角…と言った方がいいのか、ええい、面倒だから地図を貼っておく。

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さて、この三平だけど、せっかくの美味しい唐揚げにもかかわらず、お店ではご飯のような「あて」を出していない。
お店で食べる時は、ひたすら唐揚げだけをほおばることになる。
「ご飯と一緒に食べたら美味しいだろうね」という意見が家族内ではもっぱらだった。
「それじゃあ車で買いにゆくか?」ということも真剣に検討されていた。
お店にはテイクアウトしていくお客さんが結構いるからだ。

さて、先週の日曜日、子供たちが午後1時すぎになって「どっか行きたい」と言い出した。
カミさんは夏風邪で寝ている。
「それじゃあ」ということで、横須賀の長井にあるソレイユの丘に行ってみることにした。
午後遅い時間ではあったけど、それなりに遊ぶことができた。
駐車場代として1000円は取られるけど、入場料無料なのは楽しい。子供たちはゴーカートとそりすべり、僕はアーチェリーで遊んだ。

ソレイユの丘を出た後は、ぶらぶらしながら「最後の海軍大将」と呼ばれた井上成美の遺蹟を探してみたけど、結局それ的なものは見つからなかった。彼は戦後、赤貧を貫きながら、この長井の地で英語塾を開いていたと聞いていたからだ。

そんなこんなをしているうちに、ふと「三平」のことを思い出した。ここ長井の地からだど、「三平」はちょうど帰り道の方角になる。

「ようし、今こそ"三平唐揚げ陸送大作戦 from 陸上自衛隊武山駐屯地 to 家"の発動だ。コードネームは"伯方の塩"」。
というわけで、まずカミさんに電話をかけて、三平の唐揚げを買って帰るから、ご飯だけ炊いておくように指示する。

実はこういう時もあろうかと、iPhoneのメモ機能に「三平でテイクアウトする場合の注文数」というのを記録していた。
過去に食べた経験から「これだけの量は必要だろう」というのをまとめておいたのだ。
ふむふむ「唐揚げ3 手羽先1 塩焼き1」と書いてある。

また、こういう時もあろうかと、三平の電話番号は登録ずみだ。
長井付近からだと三平まで15分~20分。注文の電話を入れれば、三平に到着する頃にはできあがっているはずだ。

ところが発信音を10回鳴らしても、誰も電話に出ない。
「さてはマサトシさんの言っていた"三平カレンダー"か?」と思う。
三平というお店は休業日も開店時間も気まぐれだという。前日に電話をかけても、明日開店している保証はない。
ラッキーなことに、我々は5回行って開店率90%だったが、今日に限り10%に引っかかった可能性はある。
とりあえずお店に向かうことにした。

案の定、店は開いていない。ちょうど時計の針は17時30分を指していた。
「いきなりミッション失敗か?」とも思ったが、今日は18時開店の可能性もある。一度そういう経験があったからだ。
かといって林交差点のロータリーで30分待つのもバカバカしい。
ちょうど地図を手繰ると、近くに自衛隊の射撃場があるようだ。ちょっと面白そうだから、行ってみることにする。

(一部省略)

てっきり、バキューンバキューンと撃っているのが覗けるかと思ったが、軍事機密はそんなに甘いものではなかった。
どうも屋内射撃場のようだった。
そんな風に「三平」に戻ってきたのが18時ちょうどだった。
見ると看板の電気が点灯しているではないか。みんなで「よっしゃあ!」と歓喜の声をあげる。
節電と言われて久しい昨今ではあるが、看板の点灯の有無が人間の喜怒哀楽を左右する場合もあるのだな、と思った。

お店に入ると、早速メモ通りに注文する。
すると「塩焼きは炭をおこすから、2時間ぐらいかかりますよ」と言われる。
仕方がない、「唐揚げ3 手羽先2」を注文する。待っている間に子供たちと週刊ジャンプを読む。
実は、ここで生まれて初めて「銀魂」のマンガ版というものを読んだ。面白いな、これ。

やがて注文ができあがった。
ところが唐揚げが入っている袋をみたら、紙袋だ。大昔のスーパーの袋みたいなやつ。

さて困った。
紙袋だとするとじわじわ油が染み出してくるはずだ。車の床上にこれを置くわけにはゆかない。
かといって子供にずっと袋を持ちあげたまま持たせておくわけにもゆかないだろう。
みると他のテイクアウトのお客さんは、スーパーのビニール袋を持ってきている。
なるほど、そういう生活の知恵…..三平の知恵は大切だと思った。

仕方がないので、こういう方法にした。
車に置いてあった100均のビニール傘を解体し、そのを娘のひざに上に広げた。その上で紙袋(唐揚げ入り)を乗せ、運転中に倒れないようにおさえておくように指示した。

さあ、これでようやく出発できる。一路我が家に向けて出発だ。

自分の頭の中で「揚げたての三平の唐揚げが、辛うじてジューシー&クリスピーに食べれる時間的限界、もしくは紙袋(唐揚げ入り)が破れない時間的限界」というものについて考えてみた。すると「30分」という答が出た。
普通であれば、林の交差点から県道26号で横横道路の衣笠ICに行くところだが、「やむを得ない緊急事態」ゆえ三浦縦貫道路を使って衣笠ICに向かう。
ところが三浦縦貫に入ると、前方を制限速度以下でのったらのったら走っている軽トラがいるではないか。
思わず「ゆっくり走るな!こちらは紙袋(唐揚げ入り)の命がかかってんだ!」と呟く。子供たちがゲラゲラ笑う。

やがて横横に合流。あとはひたすら走る。
娘には「紙袋(唐揚げ入り)を倒さないようにね」と言いつつ紙袋を見ると、さっき以上にじわじわ油が染み出している。
ふと「恐怖の報酬」というフランス映画を思い出した。食い詰め者のイブ・モンタンが油田火災を鎮火させるためにニトログリセリンをトラックで運ぶという映画だ。もちろん彼の目当ては高額な報酬。そしてその代償はちょっとした震動でも爆発するニトログリセリンという「恐怖」だった。

そして「三平」を出てから27分後、我々は自宅に到着した。
横横は車が多かったが、日曜日のこの時間にしては渋滞がなかった方だと思う。これが夏場であれば、車内は唐揚げだらけになっていたかもしれない。
この季節までだったからこそ、可能な芸当だったのだろう。

とにかくミッション"伯方の塩"は成功した。
若干のジューシー感は抜けていたものの、美味しい唐揚げとご飯という組み合わせは、幸せ以外の何物でもなかった。

管理人のたわごと