クロディーヌ・ロンジェ “Snow”に関するあれやこれや

上大岡的音楽生活

背筋が凍るような名曲...って人それぞれだと思うけど、この季節になると耳から離れない名曲がある。
クロディーヌ・ロンジェ(Claudine Longet)の「スノウ(Snow)」という曲だ。

(Claudine Longet – Snow)

クロディーヌはフランス出身の女優&歌手。昨年(2012年)に亡くなったアンディ・ウィリアムスの元奥さんだったと言う方が日本では説明しやすいだろう。
1976年に当時の愛人を射殺(本人は誤射だったと主張)した事件以降は完全に沈黙を守っている。

作曲は「トイ・ストーリー」のサントラでもおなじみの、ランディ・ニューマン(Randy Newman)。アレンジは当時A&Mレコードでアレンジャーとしてもコンポーザーとしても活躍していたニック・デカロ(Nick DeCaro )。
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Claudine Longet
しんしんと降る雪のようなピアノのイントロ、クロディーヌのウィスパリング・ボイスにはある種の敬虔さがある。これがまた雪の情景にマッチしている。
程なく入ってくるフルート(?)が風に舞う雪を思わせる。あの人との思い出はすべて雪の下に埋もれててしまったという切ない歌詞がまたいい。ランディ、ニック、そしてクロディーヌによる色あせることのない創造物だ。

この曲は1967年の11月もしくは12月初旬にクリスマス商戦を狙ってリリースされたクロディーヌのシングル「I Don’t Intend To Spend Christmas Without You」のB面曲だった。

(Claudine Longet – I Don’t Intend To Spend Christmas Without You)
こちらの作曲者はマーゴ・ガーヤン(Margo Guryan)。近年ソフトロックがリバイバルする中で、再びスポットライトが当てられている女性シンガー・ソングライターだ。
この曲自体はビルボード「クリスマス・シングル・チャート」で30位となっている。

「Snow」は様々なアーチストが取り上げている隠れ名曲なんだけど、有名なのはハーパース・ビザール(Harpers Bizarre)のセカンド・アルバム「Anything Goes」に収録されているもの。

(Harpers Bizarre – Snow)
一説にはこちらのバージョンの方がレコーディングは先だったと言われているけど、何しろ同時期(1967年12月)のリリースのため、何とも言えない。
アレンジの成熟度から言えばクロディーヌのバージョンの方が洗練されているので、あるいはそれは事実なんだろう。

さらに1970年にハリー・ニルソン(Harry Nilsson)がランディの曲をカバーしたアルバム「Nilsson Sings Newman」にも収録されている。

(Harry Nilson – Snow)

2003年にはセイント・エティエンヌ(Saint Etienne)がファンクラブ向けの限定シングルのカップリングとしてカバー。

(Saint Etienne – Snow)

さらに….「ああ、こいつ単にYoutubeで探しているだけじゃないか」というのは半分事実。だって僕が知っているのはハリー・ニルソン止まりだからね。
まあいいや…ええと2012年にはトレイシー・ソーン(Tracey Thorn)がカバーしている模様

(Tracey Thorn – Snow)

でもこうやって聞いていると、やっぱりクロディーヌのバージョンが飛びぬけて美しい。特に21世紀の2曲は安易なカバーに過ぎない。
音楽は時代とかタイミングとかイマジネーションとか色んなモノが複雑に混ざり合った化学反応なんだなぁと改めて思う。

この「Snow」に限らず、ランディ・ニューマンの書く作品には多くのミュージシャンにカバーされているものが多い。
だけど、共通して言えるのは日本ではほとんど知られていない、ということだ。
たとえば「I Think It’s Going to Rain Today」という曲は、確認できる限りで18アーチスト以上にカバーされている。僕はこの18曲をiPod内に一枚のアルバムとしてコンパイルしているけど、このことはまたいずれ記事にしようと思う。

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