小田純平、まつざき幸介&平岡千佳チャリティー・コンサート at 鎌倉

ライブレポ

まつざき幸介さん、小田純平さんがコラボするというコンサートへ行ってくました。ゲストは大阪の演歌歌手の平岡千佳さん。会場は鎌倉市生涯学習センター。
まつざき幸介
まつざきさんの長丁場のステージは久しぶりだったので、楽しみにして行ったのはもちろんのことですが、今までまつざきさんに多くの曲を提供している小田さんの長丁場のステージは一度も見たことがなかったのです。今日はお二人のコラボということで楽しみにしていました。

ロビーは長蛇の列。物凄い熱気です。
まつざき幸介
並んでいる間、お隣のまつざきさんのファンの方とお話ししました。その方が言うにはまつざきさんの魅力は「歌声、人柄、音楽の3拍子が揃っている」とのことでした。とてもよく解りますよ。

300人埋まる会場が「Sold Out」との前情報でしたが、本当に満員でした。臨時席や立見まで出る状態でした。僕は最前列の臨時椅子に座りました。
お隣の席の方と言葉を交しているうちに名刺を頂いたら、上永谷のスナック「みのり」のママさん。このお名前、まつざきさんのブログに何度か紹介されていたなぁ。僕も自己紹介をすると、
「えっ!まつざきさんの歌の先生?」と言われました。
いえいえ、めっそうもございません。以前まつざきさんのイベントで花束を出した際に「若い子はいいわね~」とまつざきファンの方に言われまくっていたharuさんが先生でして、僕はあくまでも裏方でございます。

まずはまつざきさんのステージ。
まつざき幸介
「鎌倉残照」「君すむ街」「街の灯」「Sake」など7曲を熱唱しました。
真っ直ぐに伸びる声がいつ聞いても素晴らしいです。しかもその表情の嬉しそうなことったらありません。
途中のトークで「堺正章さんが大好きで、尊敬しています」というMCとともに「街の灯」を熱唱。たしかに「君すむ街」レコーディング前に堺正章の「街の灯」のイメージで歌いたいという話をされていたのは覚えていましたが、尊敬する歌手の筆頭だとは知りませんでした。
でもまつざきさんは、僕がスパイダースの大ファンで、珍盤までコレクトしていて、今のペンネームもそこから取っていることはご存知ないと思います(もっとも僕はムッシュファンですが)。

ファン層は40代後半から60代の女性が中心。「まっちゃーん!」と声援が入ります。そしてこんな風にペンライトが振られました。
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まつざきさんは、ステージを降りて、歌いながらお客さんと握手して廻ります。フツーはこういうときに「がんばって下さい!」とか「素敵よ~」と言うのでしょうけど、僕に握手に来て下さった際に、ついつい教室発表会のクセで「お疲れ様です」と言ってしまいました。あ~あ、やっちゃいました。

お次は平岡千佳さん。
平岡千佳
大阪出身の可愛らしい方で、まだお若いにもかかわらず、デビューから22年というベテランでした。
ステージでも歌っていた「好きやねん大阪」は1990年頃に営業車のAMラジオで聞いた記憶がありますし、帰宅してからこの方のWEBサイトをチェックしてジャケ写を見て思い出したのですが、以前CDショップに勤めていた時に、この方の「さくらの歌」と「笑顔千両」は取り扱った記憶があります。
歌声も安定していてキャリアの重みを感じました。ステージで歌った小田純平さん作曲の「むらさき川」がとてもいい雰囲気だったので、帰りがけに購入。

お次は小田純平さん。
小田純平
haruさんから「凄いボーカリストでもある」とは聞いていましたし、ちょっとだけならば生での歌唱は聞いたことがあるんですが、こうやって長丁場を聞いていて、力強くて勢いのあるボーカルには圧倒されました。

今日のテーマのひとつが「純平サウンドとはどうゆうものかを、直接ご本人のステージから感じることで、まつざきサウンドを理解する」というものだったのですが(笑)、何となく理解できました。

これはいわゆるステレオタイプの「ド演歌」ではないのです。
1970年後期にいわゆる「ニュー・ミュージック」とは対極に「骨太フォーク」というか「侠気フォーク」という潮流(初期の長渕剛、初期松山千春、河島英五、永井龍雲など)がありましたが、そうしたサウンドに近いと思います。あるいはアリス解散後の堀内孝雄の演歌的アプローチにも近いかもしれません。そこに小田純平独特のメロディーラインがかぶさっている。そんなサウンドでした。「ド演歌」世代が現在の70代ぐらいの世代だとすれば、むしろフォーク世代を通過してきた50代~60代の世代に受け入れやすいスタイルなわけです。

しかも面白いことに平岡さんのように演歌キャリアの長い方歌えば、演歌の色がよくにじみ出てきますし、まつざきさんのようにPOPSや歌謡曲的なアプローチならばJ-POP的な色がにじみ出てきますし、純平さんのようなフォークシンガー的な歌い方で歌えばフォークに聞こえてくるのです。

以前坂本冬美がRCサクセションとコラボしたり、冠二郎がDEEP PURPLE風演歌を歌ったりしましたが、もっと自然な形で演歌歌手にも演歌ファンにも溶け込みやすいサウンドというのが、小田純平サウンドの特徴ではないかと思いました。

まつざきさんは、昭和62年にリリースされた純平さんの「Sake」を聞いて以来、ずっとファンで、ようやくその想いが通じて「Sake」のカバーでデビューしました。
そして新たに純平さんの書き下ろし曲「君すむ街」で一気に名が広まっている状態です。そして新曲の「鎌倉残照 Acoustic Version」は鎌倉観光協会推薦曲になりました。
いっぽう小田純平さん本人はといえば、小金沢昭司に作曲提供した「オモニ~母へ~」を発端として、よりフォーク的なアプローチをすすめた「神楽坂」がスマッシュヒットとなったことから、新たな演歌の潮流を作り出しつつあります。今後の流れに注目したいところです。
平岡千佳・小田純平・まつざき幸介
印象に残ったことがあります。
小田純平さんはMCで「昔は人から与えられた歌を歌わなければいけない時期があったけど、自分で気に入らない歌を歌わされたこともあった。だからまつざき君や千佳ちゃんは、"ここを直せ""こうして欲しい"というのがあったら、どんどん言ってな」と言っていました。またまつざきさんや平岡さんは決して純平さんのことを「小田先生」とは呼ばずに「小田さん」で通していました。この二つが印象に残りました。

昔はレコード会社に専属の作曲家や作詞家がいて、その会社に所属する歌手はその会社の作曲家や作詞家の提供した歌を歌わなければならないという風習がありました。作曲家や作詞家のことを「●●先生」と呼ぶのは、そういう時代の名残なのでしょう。また例の「おふくろさん事件」に関して(経緯はともかくとしても)、ファンの存在を超えたとこで展開された作詞家と歌い手という徒弟的な関係の持つ異様な「重み」に違和感を感じた方は多いと思います。

そういう作曲家たちの「しばり」が嫌で、オランダ外資系のフィリップスから作品をリリースしていたのが当のスパイダースなんですが、それは余談。小田純平さんとまつざきさん、平岡さんの関係も、お互いの信頼関係や熱意から始まっているところに意味があるのだと感じました。信頼関係や熱意が伝わりあうところからいい音楽は生まれるわけですから。

小田純平さんの「三流浪漫」が気に入ったので、物販でCDを購入し、サインを貰った際に言われました。
「君、奥田民生に似ているな~、ステージから見たら目だっていたよ....良く見れば俺にも似ているね~」。

いや、光栄でございます< (_ _)>

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