遠くで汽笛を

おみおくり

日曜日は朝から法事だった。
8日に亡くなった父の従姉妹のマッチャンのお葬式へと行ってきた。
マッチャンは大学生の時に岡山から上京してきて、僕の祖父母の家に下宿していた(大学生が親戚の家に下宿するなんて、なんだか昭和な話だ)。

今でもよく覚えているのはマッチャンに近所の本屋に連れていってもらい「もぐらくん、まちへゆく」とかいう絵本を買ってもらったこと。「もぐら君」が自分で車を作ってドライブするというストーリーが面白かったのを今でも忘れない。数年後に図書館の職員となったマッちゃんらしいプレゼントだったと思う。

お葬式でご住職がお経を読むわけだけど、実に変わったもので、そのお経の中でマッチャンのプロフィールが読み上げられた。
「昭和何年に生まれ、何歳で上京し、何の仕事について、何年に結婚し、子供を設け、趣味は何で」という感じで故人の歴史や趣味を唱えてくれるのだ。こういうお経は初めてだった。
そんな一節にこういうのがあった。「アリスの音楽が大好きで、特に堀内孝雄の大ファンだった。一番好きな曲は"遠くで汽笛を聞きながら“だった」。
こんな話は親戚一同初耳だった。

そして僕とカミさんは別の意味で驚いていた。
先週の金曜日、つまマッチャンが亡くなった2日後のことだ。
僕は関内にある飛び入り参加自由のフォーク居酒屋「マークⅡ」にいて、「何を弾き語ろうかな」とお店にあるコード本をめくっていた。そして、たまたま見つけた「遠くで汽笛を聞きながら」を弾き語ったばかりだったのだ。

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