ジンジャー・ベイカーが天国へ行ったらグレアム・ボンドが待っていた話

グレアム・ボンド「よお、随分待たせやがったな」
ジンジャー・ベイカー「いや、あんたが勝手に先に行っただけだし」
ジャック・ブルース「まあそう言うなや」

グレアム・ボンド「とりあえず、あれやるべ」

ジンジャー・ベイカー「あれって...ゲッ、まだこのクソセット、あったのかよ!」

ジャック・ブルース「それが、あったんだよ!」

映画Gonks Go Beat [1965]より

【解説】クリーム結成以前、ジンジャー・ベイカーとジャック・ブルースはグレアム・ボンド・オーガニゼーションに在籍していた。ブリティシュ・ブルース・ジャズの渋いサウンドは今でもオリジナルの輝きがある。1965年にリリースされた「Sounds Of 1965」はスィンギン・ロンドンの空気を詰め込んだナイスなアルバムだ。この時期にメンバーはB級音楽SF映画「Gonks Go Beat」に出演している。映画のデキはともかくとしてプレイする3人の姿がカラーで記録された貴重な映像ではある。

こうした映画への出演への嫌気、薬物中毒になりつつあったグレアム・ボンドへの不信感、そして何よりもジンジャーとジャックの仲違いは深刻で(楽器を壊しあうレベル)、結局二人はGBOを離れてしまう。

二人を再び結び付けたのはエリック・クラプトン。こうしてスーパーロックバンドの先駆けといえるクリームが誕生し、ロックの歴史を書き換えていった。

一方、残されたグレアム・ボンドはその後、薬物漬けと音楽の変化にうまく波長をあわせられぬまま、そして黒魔術というオカルトの世界にハマったまま、1974年5月8日 にロンドンのフィンズベリーパーク駅で謎の事故死を遂げる。

一般的には「自殺」と語られているが、麻薬の売人に金銭トラブルで追われていたのだという説もあり、その真相は定かではない。