LOVE PSYCHEDELICO at 渋谷公会堂
あれは4月ぐらいだったか、大学時代からの友人の「こーいちろー」君から電話がかかってきた。
「ムネさぁ~、6月14日に渋谷公会堂でラブ・サイケデリコのライブのチケットが余っているんだけど、行かない?」
「おお、いいよ」と二つ返事でOKした。
実はLOVE PSYCHEDELICOの事はあまりくわしくなかった。
持っているのは「THE GREATEST HITS(1st)」と「GOLDEN GRAPEFRUIT(4th)」の2枚だけだ。なんともオジサン好みの音を出すユニットだなぁという印象があるのだけど、前知識はぜんぜん無かった。無いまま渋谷公会堂へノコノコ出動した。
やがて「こーいちろー」君がやってきた。
開口一番「お前さぁ、奥さんか社内の女の子でも誘おうと思って失敗したんだろ」と言ったら、
「いやあ~、ムネはラブ・サイケデリコ好きなんじゃないかと思ったんだよ。一人で行くのも何だからさぁ」と言ってきた。
「それは光栄なんだけど、実はこのグループのこと、俺全然知らないんだよね~」と言ったら「マジ?」と驚かれた。
「マジだよ。だってアルバム2枚しか持ってないもの」と返したら、
「冗談じゃない。そんだけ持ってれば上等だよ!」と言われた。
でもアルバムを持っているのと、知っているのでは意味は大違いだ。
2人ユニットという以外はボーカルの名前すら知らないというのが、僕のLOVE PSYCHEDELICOに対する知識のすべてだった。
客席は前から20列目の中央に近かった。
客層が20代~30代が中心なのはわかるけど、上は60代ぐらいの人まで、まんべなく揃っている。
男女の比率はやや男性が多いぐらいかな。皆さん「音楽にはこだわりを持っているぞ」的なオーラが出ている。
それにあわせたかのように客入れの音楽もセレクトされていた。Joni Mitchell「Big Yellow Taxi」、Todd Rundgren「I Saw The Light」、Carole King「I Feel The Earth Move」、Billy Joel「My Life」....。そして開演の音楽はThe Rolling Stonesの「She’s A Rainbow」だった。
ボーカルのKUMIちゃん(この時「こーいちろー」君に名前を教えてもらった)は想像していたよりも小柄なんで驚いた。
だけど彼女はとてもカッコ良くて、ギターもガンガン弾いていた。
サポートも素晴らしくて、特にパーカッションのアメリカ人がすさまじかった。
それと...キーボードが3台ぐらいあって、2人のサポートミュージシャンがマルチに管楽器と12弦ギターなどと兼任するのだけど、彼らがサウンドをどんどん面白くしていた。
残念だったのは渋谷公会堂が反響がよすぎるのて音がモワっとした感じになっていたことだ。KUMIちゃんのボーカル、楽器のひとつひとつが聞き取りにくかった。
LOVE PSYCHEDELICOを生で見て感じたのは、既視感があるのに新鮮なサウンドだということだ。
ずっと昔に聞いていたような懐かしさがあるのに、それ以来、全然聞いていない音だ。
アメリカっぽい音で、女性ボーカルで...あっ、そうか、これってそのまんま1970年代~80年代初頭のガールズ・ロックバンドの音だ。
僕の姉貴が大好きだったThe Runaways(Joan Jetも含む)やThe Go-Go’sとかだ。もしかしたらPatti Smithなんかも入っている。
それもキャッチーなシングル曲ではなく、どちらかと言えばアルバムの3~4曲目あたりに入っている渋めの曲。
リアルタイムはともかくとして、以降はあまり聞かれることのなかった一過性の音の雰囲気に近いから、逆に新鮮に思えたのかもしれない。
その一方で「裸の王様」のようなアコースティカルな曲もゾクゾクするぐらい良かった。
ギターのNAOKIさん(これも「こーいちろー」君に教えてもらった)は、本当はロック的なものよりこういう曲の方が好きなんだろうな。
あっと言う間の2時間30分だった。
ラストの「Freedom」ではサビの部分でKUMIちゃんの声が出なくて(ツアー最終日だったのもあるかも)観客の合唱で終わった。
帰りは車で鮫洲の「ラーメン道楽」へ。
「こーいちろー」君が昔から好きな店だ。
ねぎラーメンを食べながら、今みてきたライブのこと、仕事のこと、将来の展望なんかを語り合った。
彼といると28年前の学生の頃と同じ空気となり、それがまた新鮮だったりする。
そういう存在は、音楽でも友でも大切ですね。「こーいちろー」君。
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