Ceatec Japan 2006

教室事件簿

「なんちゃってIT企業になろう!」企画第一弾....というわけではない。昨日は幕張メッセで開催されたCeatec Japan 2006へと行ってきた。

「何それ?」という人のために説明しておく、
ひと言でいえばこれは「日本最大のIT(情報技術)やデジタル家電の見本市」。その規模の大きさにおいては世界でも3つの指に入る展示会らしい。もっとわかりやすく言えば「新しモノ好きのための見世物市」ということになる。

同行してくれたのはアニキ(デジタル君)と59喉(アナログ君)。これに僕(アナログ/デジタル・コンバーター君)という構成だ。

その1:勝手にDJをしてくれるシステム
SN290003.jpgパイオニア君が開発したシステムで「オートフレーズ・リミックス」と言う。ひとことで言えば「次の曲を選曲&DJしてくれるシステム」。データベース上にあるそれぞれの曲の和音、リズム、曲調などを解析して、次の曲をセレクトし、、両方の曲の類似のフレーズなどがあるところを解析してクロスフェードさせてくれるらしい。例えば「A」という曲を流している段階で、次に流すべき「B」という曲を選んでくれる。そして、A曲のフェイドアウトにあわせてB曲をフェイドインさせ、全体的な流れを維持しながら次の曲へとつないでいってくれるわけだ。よくCDプレイヤーやMp3ウォークマンなどについているランダム再生機能を進化させたものといえる。実際にデモ演奏に立ち会ったけど、違和感なく次の曲につないでいってくれていた。「ランダム再生」など今までは面白くもなんともなかった機能だが、これによって「静かに聴きたい曲メドレー」「ドライブに聴きたい曲メドレー」なんていうのも可能になるんじゃないかと思った。

その2:車載の鳥形ロボット
これまたパイオニア君が開発したロボット。運転中などにダッシュボードの上に設置するロボットなのだが、運転や道路状況に対していちいち反応してくれる。危険な運転をするとビッウリする動作をしたり、「イヤイヤ」とすねたりしてくれるのだが、これがカワイイ。また、信号が青になると青く輝いたり、運転席から見える風景をランダムに選んで勝手に撮影してくれるという機能もあるらしい。カワイイという反面、運転中に気が散る存在ではある。気が散らない程度の優しい運転をすれば、このロボットと人間の未来も明るい、というわけ。

その3:商談をする59喉
基本的にマイナーな企業ブースを見て廻るのが好きなんだけど、ふと気づいたらそうしたブースのひとつで59喉が商談していた。商談相手は台湾の企業だ。世にも不思議な風景なので、撮影してみた。
商談する59喉
やがて商談が成立したようで、なにやらアヤシゲな荷物を小脇に抱えながら歩いている。お陰で台湾の企業はサンプル品を台湾まで持って帰らなくて済んだようだ。
購入した59喉
何をいくらで購入したのかは、喉のblogを参照されたし。

その4:電気コードでインターネット
NEC君のブースで見学。正式名称を「電力線搬送通信=PLC」と言うらしい。
パソコンを下のようなアダプターを介して家庭用の電源にブッさせば、そのままインターネットが楽しめるという技術だ。いつでも自分の好きな場所(部屋)でインターネットができるというわけ。
PLCのアダプタ
ビルや屋内での余計な配線のとりまとめが不要で、しかも高速通信が可能なんだという。喉とアニキが「すげー」を連発していた。
何でもいいけど、説明してくれる人に「PLCって何の略ですか?」と尋ねたら、言葉を詰まらせていた(答は"Power Line Communications")。

その5:対決!ブルーレイ対HD-DVD
次世代のハイビジョンDVD規格として、ベーター対VHSのドロ沼の争いの再来と言われているのが、ブルーレイ対HD-DVDの争い。今回のCeatecを両陣営のガチンコ対決とマスコミが位置づけているために、それではと両陣営のブースへと行ってみる。

ブルーレイ側は、ハードの充実度を中心にプロモーションを打つ。だけど、そのハードがとてつもなく贅沢品なのだ。
たとえばこのソニー君から発表されたハイビジョン対応のVAIOのパソコンだが、マトモに購入したら30万~50万はするシロモノらしい。このPCによってハイビジョン・カメラで撮影した動画の編集とDVD化までが可能だ。
VAIO
当然完成したDVDをハイビジョン画質にこだわりながらTVで鑑賞するには、ハイビジョン対応のDVDプレイヤーとTVがなければならない。映像マニアには最高の贅沢と言えるだろう。
今から7年前、通常のデジタルビデオの映像を編集し、わずか5分程度のVIDEO-CDを製作できるVAIOのマシン"PCV-R71″がやはり40万だったことを考えると、技術の進歩には驚かされるとともに、相変わらずSONYはこのあたりの土地勘がいいなと思う。

いっぽうこちらは松下君が開発したパソコン用のブルーレイ・ディスクドライブ
SN290005.jpg
書き込み速度は2倍という遅さ(2時間の映像を書き込むのに30分かかる)で、しかも値段は10万近くするようだ。うーむ、まだまだ進化が足りないのぉ~。

いっぽうHD-DVD陣営はというと、ソフトの充実を売りにしていた。HD-DVD規格に対応したソフトがガンガン展示されているのが目だった。だけどハードが少ないだけに超地味....まだ発売すべきハードが充実しておらず、せいぜいマイクロソフトの「Xbox」が大きく展示されているぐらいだった。

マスコミの報道ではSONYのブルーレイ・レコーダーが「年末商戦向けの見切り発車」と叩かれているけど、少なくともCeatecにおける「ファースト・インプレッション」ではブルーレイの方が勝っていたように思う....だけど本当に見えたのは、話題を先行させるために消費者不在のまま競い合っている両陣営の姿だった。

その6:ムラタセイサク君
今回のCeatecの最大の目玉は実は彼だったのではないだろうか?
話題の「自転車に乗るロボット」だ。
ギリギリ本当に最後のデモストレーションを見ることができた。
さて、このムラタセイサク君、別にピアノ線で支えているわけでも何でもなく、ジャイロセンサーで傾きを感知し、胸元にあるオモリみたいなシロモノを回転させながら、見事にバランスを取っている。思えば二足歩行のロボットの登場から10ウン年。ついに「ここまでやるか」という濃い動作をしてくれるロボットをかいま見ることができた。
急な坂道を走行するかと思えば、バックで車庫入れをし、S字の平均台を走行してしまった。
ムラタセイサ君
このままで行けば、あと10年もたてば、既製品の原付やバイクを運転するロボットが出てくるかもしれない。

その7:漆塗りデジカメ
これは漆塗りのデジカメだ。松下君が「あくまでも参考出品」ということで展示した。今から30年ほど前「日本」という名前の家具調TVがあったけど、それに匹敵するミスマッチ感。
061008_07.jpg
それにしても何考えているんだか.....

とまあこんな感じで、別に家電オタクでなくても楽しめるイベントだった。家族連れも多かったし、何にもましてアナログ派の59喉が「面白い、面白い」と喜んでいたのも印象的だった。個人的にはライブ撮影用にハイビジョンのビデオカメラを物色していたのだが、こちらの方は満足できるものが何ひとつなかった。

なお、さ来週から、もっと身近で面白いIT技術や家電技術を集約したWPC EXPO 2006というイベントが東京ビックサイトで行われる。そう、去年も行ったイベントだ。こちらの方は、家電品の破格の即売会もあったりして、いま家電製品の購入を検討している人にはオススメだ。勿論僕も行く予定。
それどころか「また行きましょう」と熱い約束を取り交わす3人がここにいたりする....

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