Ceatec Japan 2009

教室事件簿

教室企画「秋の社会科見学」ということで、3年ぶりに"ITとエレクトロニクスの見本市"Ceatec Japan 2009に行って来た。現地では各自がてんでバラバラに行動。

【ムラタセイコちゃん】
ムラタセイコちゃん
グレードアップした一輪車走行ロボット「ムラタセイコちゃん’09」が一般公開された。
幅2cmという平均台の上を実際に走行。顔を赤らめるという表現もできたりする。
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3年前のCeatecでは「ムラタセイサ君」を見ているけど、今回は両者揃っての登場だった。

【Gracenoteの楽曲認識技術(ミュージックID)とムード・ビジュアライザー】
今回個人的に興味があったのが、このGracenote社のブース。
Gracenote
音楽データベースではいつもお世話になっている。ホラiTunesでCDをトレイに入れると、アルバムタイトルや楽曲名が出でくるでしょう。あの技術はGracenoteのものだ。
モバイル・ミュージックID
「モバイル・ミュージックID」は、楽曲が固有に持つ波形をもとにデータベースと分析照合するシステム。いまラジオで流れている楽曲の曲名がわからなくても、このようなカーナビの液晶についている内臓マイクに楽曲を聞き取らせると、データベースにその曲を参照しに行ってくれて、曲名やアーチスト名を教えてくれるというわけ。
ってことは世界のどこかで、せっせせっせと古今東西過去から現在までのCD一枚一枚に収録されている楽曲の波形(フィンガープリント=指紋)をデータベース化している人がいるわけで、そっちの方が凄いと思った。
でもこのシステムは面白いね。携帯などで今ラジオから流れている楽曲を聞き取らせて、その曲が何という曲なのかを教えてもらえたら、どんなに便利かわからない。
「ムード・ビジュアライザー」
ムード・ビジュアライザー
実用化はされていないけど、その日の気分に応じて聞きたい曲を選曲してくれるシステム。
縦軸はポジティブな気分~暗い気分
横軸は落ち着いた気分~エネルギッシュな気分
その交差した部分をクリックすると、それに似合った楽曲が流れてくる。より細かく"Peaceful","Easy-Going","Fun","Blue","Aggressive"という具合に、そのときそのときの気分がセグメントされている。
ちなみに"Fun"をクリックしたらThe Beach BoysやFreddie & The Dreamersのひたすら陽気な曲が流れた。
“Energizing"をクリックしたら....
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Led Zeppelnが流れた。

【VOCALOID「CV-4Cβ(YAMAHA)】
写真撮影は禁止されていたので、見て聞くだけだったけど、YAMHAのブースではボーカロイドの音声技術を利用した女性型ロボット(CV-4Cβ)のデモストレーションをやっていた。僕はたまたま声を担当した声優さんをゲストに迎えてのトークも聞くことができた。ロボットが歌ったのは「粉雪」「異邦人」など。
Ceatec YAMAHA
詳しい記事や画像などはITメディア・ニュースにあるのでそちらを参照されたい。
なお、マイクに向かってロボットが歌うということだけならば、コチラの方が6年ほど古い。

【燃料電池携帯・実空間透視携帯(KDDI)】
「燃料電池携帯」
燃料電池携帯
まだまだ実用化の段階ではないけど、エチルだかメチルだかのアルコールの燃料を携帯に付属した燃料タンクに注入すると、携帯電話のバッテリーとして利用できる。通常は充電バッテリーで利用可能で、いざというときにこのユニットを装着すると320時間利用できるのだそうだ。これ登山の時などに便利かもしれない。現状では気化熱のために燃料バッテリーの側面が湿ってしまうことや、携帯のサイズが現行の2倍の厚さになってしまうことなどが難点のようだ。
将来は携帯の充電コードが消える日が来るかもしれない。
実空間透視携帯
実空間透視携帯
ある場所でGPS情報を送信することで、地域情報を文字情報として取得する人は多いはず。これはその場所その場所で携帯をかざすと、「500m先に中華料理店、2km先に東京タワー」といった具合にその先にどんなスポットがあるかを立体ナビ風に教えてくれるシステム。
これはこれで面白いのだけど、とりあえずはauのケータイが仕様変更になってからのあの「もっさい」動きを何とかしてくれないものかと思う。

【DTSによるサラウンドシステム】
“サラウンド・システム"というと複数台のスピーカーによる音響空間をイメージするけど、これをPC上で音響処理した仮想サラウンドシステムというのを体験した。
Ceatec dts
「DTS Surround Sensation UltraPC」は来年から一部のマザーボードに搭載されるチップによって仮想のサラウンド空間を再現する。実際に聞いてみると「サラウンドオフ」の状態と「オン」の状態では明らかに臨場感が出てきていた。ただヘッドホンでメタルを大音響で聞いていたわけだけど、エレキギターの音はかえって音が潰れてしまっているような気がした。

【NICTの超臨場感音響システム】
事前に行かれた"ねこまたぎ"さんから「NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)が熱い!」ということで、行って来た。
まず「凄い」と思ったのが、このムダに豪華な「超臨場感音響システム」。
あたかもそこで演奏者がプレイしているかのように音を再現するというのが、音響システムの究極の目的なわけだけど、それをやってしまいましたということだ。
一例はこうだ。
超臨場感音響システム レコーディング
尺八演奏者の周囲360度に26の指向性録音マイクを設置してレコーディングする。当然26チャンネルで録音する。
超臨場感音響システム
おのおののチャンネルを割り当てた26個の高性能ミニスピーカーから構成される「円形スピーカー」で再現する。実際には尺八奏者、ギター奏者など3名の演奏を26*3=78チャンネルで録音し、3台の円形スピーカーで再現していた。正面から聞くと、尺八奏者が正面にいるように聞こえるし、後方にまわると、尺八奏者の頭ごしに演奏を見ているような気分になった。

【NICTの音声応答システム】
音声応答システム
音声による自動応答システム。
説明員が「金閣への行き方を教えてください」とマイクを使ってPCに尋ねると、
「京都駅から○番のバスに乗って下さい」という感じで自動的に教えてくれて、Googleの地図が表示された。
「金閣について教えてください」と尋ねると、
ウィキペィアの「金閣」の項目(画像では「室町時代」になっているが)が表示された。
続いて説明員が「近くで食事をしたいのですが?」と尋ねる。この時「金閣の近くだったらオムライスの"おむらはうす"だが美味しいよな」と内心思ったら、本当におむらはうすが紹介されたのには驚いた。
実際にマイクを持って「等持院」への問い合わせをしてみた。何も金閣に一番近い寺の問い合わせをしなくてもいいじゃないかと思うのだけど、説明員の方も関西の人のようだし、なんとなくあまり難しいことをコイツ(PC)に話しかけても対応できないんじゃないかと思ったからだ。PCに気を使ってどうする?という感じだが、数回の問い合わせでものの見事に等持院へと導いてくれた。

【世界中からネットワーク攻撃を受けるこの国(NICT)】
世界中からネットワーク攻撃を受けている状況を、リアルタイムでビジュアル化したシステム。現在進行形でこれだけ世界各国から攻撃を受けているんだそうだ。
ネットワーク攻撃
こうやって見ていると、「なぜ日本だけが?」という被害者意識が出てくるが、これはあくまで「日本への攻撃だけを抽出して可視化している」状態らしい。

【置いたらLAN(NICT)】
別にそういうネーミングなわけではなく、実際には「2次元通信電力伝送」とかいう難しいネーミングだ。
2次元通信媒体
このシートの上でPCを置くだけで、電力の供給とインターネットができるという凄いもの。

【Microsoft Windows 7 (intelブース)】
Microsoftとしては出展していないけど、「intelのブースでWindows 7が見れる」というねこまたぎさん情報を元に行ってみた。
これが10月21日に発売される次期OS"Windows 7″のデスクトップ画面
Windows 7
誰かがデスクトップのガジェットを散らばしてしまったようだ。
Windows7 コントロール画面
コントロール画面はこんな感じ。
私はVistaを使ったことがないのでわからないけど。見た感じはVistaと似ていると思う。タッチパネル操作に対応したOSということで、評判の「画像を指で回転させる」というヤツをやってみようと思ったが、画像を開こうとするとたびIEが起動し、そこでIEが必ずフリーズするので断念した。

【キティちゃん仕様のPC(intel)】
キティちゃんPC
見たまんまです。

【超薄型、超軽量 VAIO X】
SONY VAIO X
重さ680gで厚さは1.27cmのノートPC「VAIO X」。もの凄い行列だったので、横から見るだけ。あと数年後には紙のように丸められたり、折りたためるPCが登場するに違いない。

【次世代SDカード】
次世代SDカード
何と次世代SDカードは、容量が最大で2TBあるんだって!

【アジア系企業のブース】
「世界最小のキーボード」
このイベントでたまらなく好きなのが、台湾、中国、韓国系企業のブースめぐり。なんとも言えぬアット・ホームな雰囲気がたまらないし、僕なんかそれを下回る小さな会社なわけだから、何となく親近感がわく。
「コイツに説明しても英語わからんだろう」ってんであんまり話しかけてこない中で、一生懸命シンプルな英語で説明してくれた香港の企業(Unisen OnLine.Inc)のおじさんがいた。なんとなく部長の風格があったんで、勝手に「部長」とあだ名をつけさせて頂いた。
その部長が紹介してくれたのが、この「世界最小のキーボード」。
世界最小のキーボード
大きさを携帯電話と比べてみたら、キーボード部分が携帯にすっぽり入ってしまうサイズだった。タッチパットもついおり、ワイアレスだから、会議やプレゼンテーションなどで使うことを目的としているようだ。
「文字を画面に向かって入力してみろ」と言うので、画面の前に立って入力しようとすると、部長が「もっと離れて入力しろ」と言う。そこで3mほど離れて入力して「I understand」と入力してみた。「おー理解してくれたか」と部長がお喜びだ。キーに凹凸があるので、タイプミスなく入力ができた。日本の携帯でもQWERTY入力できる携帯はあるけど、これだけ凹凸があるとサイズが同じでも入力しやすい。
世界最小のキーボード
「部長」が入力されている風景。

「帰り支度」
帰り支度をしているホンコンのブース
最終日なわけだけど、閉館前にさっさと荷造りを終えてしまっているブースがほとんど。このブースの方々も今まさに帰国しようとしている。3年前、59喉が格安で拡声器「叶」を購入したのは、こういうシチュエーションの時だった。

「ガラーン」
韓国系企業のブース
すでに帰られたようである。軒並み誰もいなくなってしまった韓国系企業のブース。

【コンパニオンのお姉さんを撮影する人たち(docomo)】
コンパニオンのお姉さんを撮影する人たち
す、凄い.....
あっそうそう。イベントコンパニオンとして活躍している生徒さんがいたのを思い出し、後で確認したらH社のブースにいたらしい。しまった!彼女の晴れの舞台を見るべきだった。それ以外にも出展ブースのデザインにかかわっている生徒さんがいたりして、そういう意味でも、もっとじっくりと見る時間が欲しかったなぁ。

大切なのは、こういった技術を生み出してゆく人が、とてつもなく夢想家だってことだ。
そういう夢に刺激させられるために、僕は行ったのかもしれない。

帰りの東京方面は大渋滞だったので逆にアクアラインを経由して帰宅。
森田さんのお陰で安く渡れた。

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