死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚

あけましておめでとうございます。
本年もこの辺境Blogをよろしくお願いします。

さて正月早々「門松は冥途の旅の一里塚(めでたくもありめでたくもなし)」と詠んだのは一休さん。
これは新年を迎えると家族全員年を取る「数え年」という考えが色濃く残っていた頃の話です。
僕が子供の頃読んだ本では、一休さんはそれを世に訴えるため、正月からわざわざ頭蓋骨をつけた杖を持って街を歩き回ったというようなエピソードがありました。
まあ嫌味な奴ですね。

さて、そんな正月に僕は何をしているかと言うと「ステイ・ホーム」しているわけですが、久しぶりにこの本を書棚から取り出して、音楽を聴きながら読んでいます。

「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」

「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」というこの本。僕は2008年に5000円で購入しました。
原題は「1001 Albums You Must Hear Before You Die」、著者はロバート・ディメリーという音楽ライターです。
950ページにもなる分厚い本で、2013年頃までは改訂版が出版されていたようですが、日本語版は後にも先にもこの出版のみだったようです(2021年現在)。

ちなみに年代構成は以下の通り。
1950年代(23枚)
1660年代(151枚)
1970年代(279枚)
1980年代(210枚)
1990年代(239枚)
2000年代(99枚)

いわゆる名盤ガイドとは違って幅広い年代を均等に網羅しており、1960年代に偏るという事もありません。
きっとライターさんはオルタナティブ世代なのでしょう。1990年代以降の名盤を重視している事は特筆に値します。
またジャズ、ロック、テクノ、カントリー、ラテン、レゲエ、アンビエント、インド音楽など、幅広いジャンルを網羅しています。

記念すべき1枚目はフランク・シナトラの『In the Wee Small Hours(1955)』から始まります。

そして1001枚目は White Stripesの『Get Behind Me Satan(2005)』でした。

1950年代と1960年代、1975年ぐらいまでのアルバムに関してはかなりの率でCDかデータで持っており、ずいぶん聞き込んだものもあります。
一方で「あの名盤が入ってなーい」という不満もありますが、そこがセレクションガイドの面白さでもあります。
この本のおかげで聞いた事のないようなジャンルやアーチストの作品に出会う事ができました。
正直言うと玉石混交なトコロはあります。「文句なしで捨て曲のない名盤」というのもありますが、歴史的に重要なタイトルチューンを収録しただけのアルバムというのもありました。

全てを聞いてしまったロバート・ディメリー。いつ死んでも悔いはなさそうですね。
自分も冥途の土産にと色々聞いてきました。しかしながら気に入ったアルバムがあると、そればかり聞きこんでしまいます。
そもそも巷には1001枚どころではなく、何百万何千万タイトルのアルバムがあるのですから、どう考えても1001枚を聞ききるには時間が足りないようです。
かと言ってCDを棺に入れる事ができません。不燃物だからです。

ですから死ぬまでに聞ききれなかった場合は、この本を「冥途の土産」に入れてもらおうと思っています。
神様、あの世にもサブスクがありますように。

1001枚のリストは『Rock List Net』で紹介されています。http://www.rocklistmusic.co.uk/steveparker/1001albums.html