59喉、最後の路上

ライブレポ

20時ぐらいには横浜ビブレ前に行った。まだ誰も来ていないようだ。
警備員のオジサンが一名、なにやら付近を監視していた。ここ数日、59喉がblogにUPしている告知情報を読んで、警戒態勢に入っているのではないかと....そんなことを考えてしまう程、緊張したおももちだった。
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まあいい、通報されて連行されるのならば、そこも含めて一部始終を撮影しよう。そんなことを考えていた。何しろ今日は映像に残そうと思ってやってきたいちビデオカメラマンだからね。
だけど今日はビデオカメラと三脚を持ち込んで撮影しているため、僕も何かお叱りを受けることになるのかな?さすがに子供らの前でおまわりさんの相手はしたくないな。そんなことを考えていた。
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ぶらっとHMVを冷やかして戻ってきたら、喉がいた。ファンの女の子と、話をしていた。
やあ、丁度タイミングよく警備のおじさんもいなくなったようだね。
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そしてステージが唐突に始まった。一年にわたるストリートライブを経て100本目のライブの始まりだ。
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観衆はすでに50名を越えている。見ればアニキ、ゆっちぃ夫婦、マコト、haruさんなんかもいる。そして偶然ビブレに買い物に来ていたYouちゃんもいた。横須賀のストリートで彼を知って、かけつけてくれた人がいたかと思えば、かっての59喉のバンド仲間も来ていた。大勢の人たちが59喉の動きにあわせてぞろぞろぞろぞろ移動する。その姿は圧巻だった。
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たった一台のビデオカメラで撮影していると、時々考えこんでしまうことがある。
撮影対象のパフォーマンスだけを撮影すべきなのか?撮影対象を取り巻く観客の姿も含めて撮影すべきか?についてだ。
かつて「Woodstock」という映画は、アーチストのパフォーマンスと同等のウェイトで観衆の姿をフィルムに納めることで、音楽だけではなく、その時代の持つ雰囲気を切り取った。
いっぽうトーキング・ヘッズのライブ映画「Stop Making Sense」では観客に全くカメラを向けず、ステージ映像だけを写し続けることで、純粋に音楽的な部分だけを映像化した。
喉のDVD「8月27日 混沌」では相当その点に気を使って純粋に音楽的な部分だけを撮影した。
な~んて書くと、気取っているように聞こえるけど、音楽パフォーマンス映像を撮影した経験のある人ならば、皆そう感じるはずだ。ためしに上(↑)の写真と下(↓)の写真を比べてみるといい。ホラこんなにイメージが変わるんだ。
僕は大勢の観客が喉の動きにあわせて移動しているのを見たとき、
「あっ、これは喉も全体も撮影しなきゃ、だめだな」と思った。
その瞬間から緊張感と集中力が高まってしまい、
ファンダー越しに楽しむしか方法は無くなってしまった。
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喉は相変わらずだった。
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「この国のいいところを」百文字以内で述べなければならない厨坊がいた。
ステージの途中でミネラルウォーターを買いにゆかされた観客がいた。
「背中さすってください」...観客の人がさすると....ウゲーッ(「吐瀉物」イントロ)
スケッチブックには「げ~らげ~ら」と書いてあった。
以前のガムテープギターはほおり投げられた。
「前頭葉」ではみんなで合いの手の合唱を入れた。

貪欲に観衆を巻き込んでステージが展開されてゆく。ステージ運びや観客のいじくり方が上手いなぁ~と思う。一方的に言いたいことを言うだけではなく、そこにはコミュニケーションがある。時折「彼のステージって見ながら笑ってもいいんですか?」と尋ねられることがある。きっと音楽を笑うのは失礼だと思うのだろう。そんなことはないよ。笑っていいんだよと答える。
これは余談だが、ひとりだけ笑ってはいけない人がいる。
それはビデオをまわしている僕自身だ。
そしてその心構えをいつもまっとうできたためしがない。
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さて、僕はこの場所で2人の新しい知己を得た。
僕がビデオカメラで59喉を追っかけながら撮影していると、必ず近くでデジカメを使って動画を撮影している女の子がいた。内心「あっ、この人が59喉の言っているLui(L6u6i6)さんだろうな」と思った。ビンゴだった。ルイさんは59喉を西口で見かけてからストリートの世界に魅かれ、動画を撮影してはYouTubeにUPしている方だ。挙句の果てに人間大学レコードの「魔ゼルな規犬」と「mixi結婚」までしてしまったらしい。そしてmixiにある59喉コミュ(なんと40人もいる)の主催者でもある。
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後でLuiさんと話をした。彼女によると59喉→僕のblogの記事というルートで人間大学レコードを知ったそうだから、僕にとっても光栄な話だった。
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もうお一人は三里眼さん。この方もまた動画クリエイターで、YouTube上で様々な動画をUPしている。ライブの後、二人でいささかマニアックな会話をした。この3人、持っている夢に共通点があるようだ。何かいい形で実現できたら面白いんだけどなぁ~。
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59喉のステージは続いている。前代未聞の1時間近いステージとなっている。もはや体力の限界ではないかと思ったが、迫真のステージはまだまだ続いていた。こっちはこっちでビデオのバッテリーがヤバくなってきていた。

残り一曲というタイミングだった。
警備員のおじさんが演奏を中止させようと現れた。
そのとき、観客の何人もが警備員ににじりよって叫んだ。
「あと一曲で終わりますから!」
この瞬間、一年間にわたる59喉の旅は大きなひとつの円を描いたような気がした。

「パンクフォークをやりたい」と言っていたのを覚えている。
「初めてのストーリート、緊張しましたよ」と笑顔で語っていたのを覚えている。
「最近じょじょにギャラリーが増えてきましたよ」と嬉しそうに言っていたのを覚えている。
それらの記憶が一瞬のうちに僕の頭を通りすぎていった。

最後、59喉がトレードマークの目覚時計を川に投げ捨てて、ステージは終わった。
これが何の終わりを意味しているのかは、59喉しか知らない。
だけど、この場に居合わせた人たちは、これが何かの終わりでもあると同時に、何かの始まりでもあることをを予感しているはずだ。
花束が59喉に渡された....

59喉よ。一年間ありがとう。
そして僕たちは次のステージ(Next Stage)に期待しているよ。

関連リンク:
59喉blogのセルフレポ
K.K.Theaterさんのライブレポ
Lui(L6u6i6)さんのライブレポ(mixiへのログインが必要)
三里眼さんのライブレポ(mixiへのログインが必要)

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